CPGメーカーの実態から探る日本型SCMの将来

2010年2月初版発行

全社共通の目的である経営目標の達成に向けた迅速なサプライチェーンの実現

概 要

アビームコンサルティング株式会社(代表取締役社長 岩澤 俊典、東京都千代田区、以下アビームコンサルティング)は、日本の常温食品や飲料、日用雑貨(Consumer Packaged Goods 以下CPG)(注1)メーカーにおけるSCM(Supply Chain Management)施策について、在庫日数にフォーカスしたインタビューを実施。この度、調査レポート「CPGメーカーの実態から探る日本型SCMの将来」にまとめ、発表しました。

広く日本の製造業界では、国内の市場環境悪化やコスト削減の要望、グローバル事業展開や M&Aによる事業の統廃合などといった事由から、企業のSCMへの取り組みの重要性が増しているという認識があります。今後有益なSCM施策を探るにあたり、当社では、最も重要な要素である在庫レベルが欧米企業に比べて著しく少ない日本のCPGメーカーに注目し、在庫にフォーカスした詳細な実態調査を実施しました。

調査の結果、高度なSCMを構築しているCPGメーカーは、これまでセオリーとされてきた「一極集中の組織」ではなく、「自律分散型の組織」とすることで、より少ない在庫でのオペレーションを実現していることがわかりました。
さらにその将来像として、より機敏に市場変化に対応する「販売計画精度の向上と需要計画との連動」と、グローバリゼーションへの対応としての「企業グループ全体でのSCM再編」を志向していることが明らかになりました。

本調査は、昨年の8月から12月にかけて、日本の中堅以上のCPGメーカーのうち常温食品メーカー14社と日用雑貨メーカー4社、計18社を対象に実施しました。各企業のSCMレベルを判断する基準としては、SCM部門が管理指標として用いている製商品在庫日数を用い、以下の項目に関してインタビューを行い、SCMの進化過程、SCM高度化へ向けたポイントを整理しました。

* SCM 組織構造およびSCM に関する責任と権限の配置
* 需給計画サイクル
* 需要計画、生産計画、供給計画の立案方法
* 在庫削減に有効と言われる各種施策の実施状況

注 1:CPG(Consumer Packaged Goods):
日用雑貨および常温加工食品や飲料といった業種をカバーするカテゴリー。グローバル規模のメーカーとしては、ネスレやP&G、ダノンなどが挙げられる。

目 次

はじめに 
サマリー
1 CPG 業界SCM 調査の背景
1-1 日本のCPG メーカーにおけるSCM 取り組みの歴史
1-2 次世代SCM としてのCPFR潤・取り組みの困難性
1-3 グローバリゼーションにより急速に変わるSCM 環境

2 リサーチの概要
2-1 リサーチ対象企業の選定
2-2 リサーチ方法および調査項目
2-3 リサーチ対象企業の概要

3 CPG メーカーのSCM 需給管理サイクルと在庫日数
3-1 在庫日数と需給計画サイクル
3-2 加工食品メーカーにおける在庫日数分類
3-3 日用雑貨メーカーにおける需給管理環境

4 SCM 組織と在庫との関係
4-1 SCM に関係する組織の概要
4-2 SCM 機能の組織配置
4-3 SCM 部門内に配している関連機能

5 SCM 部門と関連部門との関係
5-1 生産部門
5-2 物流部門
5-3 営業部門
5-4 調達部門
5-5 マーケティング

6 流通連携の現状と動向
6-1 小売業POS データのSCM への活用状況
6-2 卸との連携
6-3 在庫に影響のある商慣行

7 日本型SCM を高度化する自律型組織
7-1 在庫日数と組織の集中・分散レベル
7-2 自律分散型組織
7-3 自律分散型組織の形成方法

8 CPG メーカーにおける2 つの在庫の壁とその乗り越え方
8-1 26 日の壁の乗り越え方
8-2 20 日の壁の乗り越え方

9 SCM 高度化の2 つの方向性
9-1 販売計画精度向上と需要計画の連動
9-2 企業グループ全体でのSCM 再編

結論:日本のCPG メーカーSCM の高度化に向けて

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