人的資本経営

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事業ポートフォリオ変革の原動力となる人的資本経営の実現によって、新たな価値創造に向けたシナリオを描く

ビジネスを取り巻く環境は急速に変化しています。生成AIに代表されるテクノロジーの非連続的な進歩、モノ消費からコト消費への変換といったマクロトレンドの変遷、グローバルビッグテックによる業界の壁を越えた競争の激化、利益追求と持続可能性の両立に対するステークホルダーからの要請の高度化など、企業が「今のまま」でいることを許容しない状況です。変化に適応し、生き残るためには事業ポートフォリオの変革、それを支える人材のポートフォリオの変革が、避けては通れない経営課題です。人的資本経営の実現を通して、優秀な人材を調達し、活躍の場を広げ、生産性を高めることにより、企業の変革を成功へ導くシナリオを描くことができるのです。

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日本企業が持続的な成長に向けて取り組むべきマテリアリティが人的資本の最大化

人的資本経営の概念は、2020年に公表された経済産業省のレポートの中で使用されたことを皮切りに、急速に広まりました。当初は、有価証券報告書での人的情報の開示をはじめとする法的対応の側面や、社会的価値に寄与する活動としての側面にフォーカスがあたり、「最低限対応すれば良い」ないしは「できたら良い」という認識も少なくありませんでした。

しかし、昨今では、企業の生き残りをかけた事業ポートフォリオ変革を成功させるために人的資本経営は「せねばらなぬ」ものという認識が広がっています。漸進的な改善ではなく、ビジネスモデルの転換や新規事業開発、利益構造の抜本的改善、経営管理の進化を推進するために、企業はこれまで以上に人材を惹きつけ、投資し、価値を最大化することが求められています。

アジェンダ

事業戦略と連動した人的資本価値創造ストーリーの構築と最重要人的課題の特定

人的資本経営を実現するには、企業運営を担う根幹(資本)である「人材」に対してどのように「投資」するのかを、ストーリーとして明確に構想し、ステークホルダーと合意することが重要です。まずすべきことは、解決すべき最重要人的課題、すなわち人材マテリアリティの特定です。

そのためには、ビジョン達成や企業存続、普遍的な競争優位性の維持といった長期的なサステナビリティ目標だけではなく、中期的な経営戦略・事業戦略の実現のためにどのような人材がどれくらい必要なのかという人材ポートフォリオ実現のための方向性を、長期的・中短期の両面から検討する必要があります。その上で、特定された人材マテリアリティに対しての数値目標であるKGIの設定、それを達成するための人材戦略および人事施策の策定、そしてその施策の進捗を測るKPIを設定し、社外ステークホルダーの関心事もくみとりながら、一連の取り組みをどう外部に訴求するか、全体の一貫したストーリーにまとめ上げていきます。これこそが「人的資本価値創造ストーリー」であり、人的資本経営を推進するためのゆるぎない軸となります。

人材調達と生産性向上を「仕組み」と「気持ち」の両面から支える施策の構想、実行

企業の三大経営資源と呼ばれる「ヒト・モノ・カネ」。この中でヒトのみが心を持ちます。人的資本経営が、モノやカネを対象にする経営手法と最も大きく異なる点は、目的を達成するための「仕組み」の構築と、人材の「気持ち」をどう動かすかの両面を議論しなければならないことです。「人的価値創造ストーリー」を実現し、人材マテリアリティを解くためには人的な施策が必要となります。

特に、必要となる人材の質(スキル・経験)と量(ヘッドカウント)を確保するための人材調達施策と、その人材が生み出す価値を最大化する生産性向上施策が重要です。それらの施策を成功に導くためには、人事制度やITといった基盤の整備のみならず、人材が自社で働くことに誇りを持ち、イキイキと働ける場を創り上げていく必要があります。これからの人的な施策には、マーケティングやブランディング、そしてクリエイティブといったヒトの「気持ち」を動かすエッセンスが求められています。

経験と勘から脱却するためのモニタリング基盤の整備と改善サイクルの確立

描いた「人的価値創造ストーリー」の道程における目的地と現在地の解像度が低ければ、社内の人材がどの方向にどれだけ進めば良いのか分からなくなり、迷ってしまいます。目的地については、人材マテリアイティが解消された状態を具体的に明文化したうえで、数値として表現、KGIとして設定する必要があります。

KGIにはサステナビリティ目標(長期)と、事業戦略(短中期)の二種類があります。前者のKGIは「どういった企業でありたいか?」という議論を深めて設定します。後者のKGIは、「事業が求める人材の充足率」となります。事業が求める人材を充足するためには、①事業戦略の実現における優先テーマに絞り込み、②絞り込んだ中で必要となる人材・職種を明確にし、③その人材の量的・質的(スキルや生産性など)の充足を可視化した「動的人材ポートフォリオ」をアジャイルに構築し、現状把握、充足に向けた調達戦略の策定・実行が必要となります。人材ポートフォリオを構築し、リスキル(再教育)・リソースシフト、リソースシフト後の生産性が発揮出来る人材を可視化することが成功のカギを握ります。

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2024.10.21 インサイト

共創で実現する企業変革と事業成長をテーマにした「Diamond Management」発行

アプローチ

アビームコンサルティングでは、事業ポートフォリオ変革実現に向けた最重要人的課題の選択と集中を起点に、変革構想策定、施策立案、実現まで、クライアントの人的資本経営の実現に向けて伴走支援します。

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