方向付け
DXを実現し生産性向上やビジネスモデル変革につなげるためには、各部署での自律的な検討が欠かせない。一方で、各部署に任せきりになると、方向感の統一に欠ける施策の乱立や、何から手を付けて良いかわからなくなる部署なども出てくる。
このような事態を回避するために、経営陣もしくはDX組織から、DX検討の方向性を提示する必要がある。DX戦略に基づいて、自社におけるDX検討のキーワード(例:リカーリングなど)を提示することで、各部署での検討に一定の方向性を提示する。
大括り化
DXを各部門で個別に検討すると、一つ一つの取り組みが細分化され、小粒なものになってしまうことも多い。また現場課題の改善にとどまるケースも多く、インパクトの大きな取り組みが出てきにくい。
このような状況への対応として、各部署をいくつかの単位で大括り化し、その単位でDX施策検討のミッションを持たせるアプローチもある。例えば、対象とする顧客・市場単位で、複数の製品単位での部署を大括り化することで取り組みの細分化を防止するというものである。
優先度付け
各部署での自由闊達な議論は不可欠であるが、多くの施策案が出てくれば出てくるほど、その優先度が不明確となる。また複数部署の取り組みを横に並べて比較検討することは、当事者である部署間では困難であるケースが多い。
このような状況では、第三者的な立場に立って優先度を評価する機能が必要となる。また、評価に用いる軸についても定義しておくことが重要となる。例えば、DX組織が各部署から上がってくる施策案について、「効果性」と「難易度」の軸で評価する方法などがある。
スケール化
DX施策の中で有望なものついては、その取り組みを強化しスケールアップする仕組みがあることが望ましいが、当初の施策インパクトが相対的に小さいため、関係部署を巻き込んで一層のリソース投入をすることが困難なことがある。
スムーズなスケールアップには、クイックウィンで早期に成果を上げることに加えて、サポート部門も含めて早期にチームアップすること、内部認知を獲得して関連部署からのサポートを得られる体制整備でのサポートが重要となる。
デジタルガバナンスの4つのレバーによって、サイクルを回すことで、よりインパクトのあるDX施策を生み出すことができるだろう。上に挙げた4つのレバーには、自社のDX施策検討における課題解決の参考になるポイントもあるのではないだろうか。