3つ目の「再エネ間接利用」対策は「メタネーション」である。
再エネから生成した水素とCO2を合成し、CO2フリーな合成メタン(カーボンニュートラルメタン)を製造し、都市ガス原料である天然ガスの代替として使用することでGHG排出を削減する対策である。
「メタネーション」の最大の特徴は、需要家の初期の設備投資コストが不要であることである。既存の需要家における燃焼設備および都市ガス導管は現状のまま使用できるため、需要家における投資負担が一切必要ない。
また運用コストについては、カーボンフリーメタン供給事業者(都市ガス小売事業者等)において再エネ調達コストに加えて水素製造および合成メタン製造コストが付加されるが、海外で安価な合成メタンの製造が可能となった場合には、既存ガス導管を活用できるため競争力のある価格で調達できる可能性がある。
ここまでエネルギー由来によるGHG排出削減対策オプションについて解説したが、非エネルギー由来のGHG排出が多い業種(鉄鋼、化学、セメント等)においてはエネルギー由来のGHG排出だけでなく、原料からのCO2排出を削減する新たな製造プロセスの構築も必要となる。
これらの業種では「2050年カーボンニュートラル実現」に向けて全て「電化」や「水素」利用だけでGHG排出をゼロにすることは困難であるため、CCUS(Carbon Capture, Utilization, and Storage)を活用し、排出するGHGを固定化し、大気への放出を回避する対策も同時に必要となる。
CCUSとは、直接燃焼もしくは製造により排出するCO2を回収(Capture)するとともに、地中もしくは海中に貯蔵する(Storage)もしくは、原料もしくは燃料として利用する(Utilize) ことによりGHG排出を固定化する対策である。当然大規模な初期設備投資が必要となるとともに、CCUSの運用時のコストが必要となる。そのため企業としてはいかに回収したCO2に付加価値を付加して外部に提供することで収益化する視点が必要となる。