自動車販売のデジタルシフトをテーマにした本シリーズの第2回 、第3回 では、オンライン販売が、これまでディーラーが目指してきた「お客様とのつながり」を中心に置いたビジネスモデルへの転換のきっかけとなりえること、そのきっかけを活かすためにまず問うべき論点が「リアル店舗の存在意義」であることを解説してきた。さらに、「リアル店舗の存在意義」は、自動車販売やアフターサービスという従来からの収益源に縛られずに、生活者の「ライフ」まで拡張して考える必要があることを解説した。
第4回 では、「既存プロセスのデジタル化」の効果をあげるためのポイントの1つが「店舗でデジタル技術を使いこなすケイパビリティを獲得していること」であることを解説した。
自動車販売デジタルシフトの最も深い深度である「オンライン販売」でも、最も浅い深度である「既存プロセスのデジタル化」でも、デジタルシフトの潜在能力を最大限に発揮するための必要条件は一致している。
本シリーズの最終回である第5回では、デジタルシフトに取り組む際に、メーカー・ディーラー本部・店舗が最優先で取り組むべきポイントとして、上記の必要条件を解説する。
まず、デジタルシフトの潜在能力を最大限に引き出すために、アビームコンサルティングが提唱している「自動車販売“つながり”モデル」を提示し、次に本モデルへの転換に向けた現実的な課題と対応策を解説する。最後に、「自動車販売“つながり”モデル」への転換を、自動車メーカーのビジネスモデル変革の中に位置づけ、その重要性を再提示する。