コロナ禍、米中覇権争い、ロシアのウクライナ軍事侵攻など先が読めないVUCA時代に突入し、激変する事業環境の影響を総合商社は強く受けるポジションにも関わらず、各社それぞれの強みとする領域で好調な業績を上げている。5大商社の22年3月期連結決算を見ても各社が過去最高益を記録、中期経営計画の利益目標を大幅に上回っており(図1)、2019年頃に複数の総合商社に対して多額の投資をした著名投資家のウォーレン・バフェット氏も満面の笑みを浮かべているのではなかろうか。
商社の歴史を振り返ってみると、戦後復興を契機とした貿易ビジネスを本格化させ、高度経済成長期に更に業績を伸ばし、バブル崩壊を起因とした商社冬の時代に突入するも、商社は事業投資モデルへ事業形態を変革し、生き残っていった。その後、リーマンショックやエネルギー価格の激しい上下に翻弄され、一時的に業績が悪化するが、事業投資から事業経営へのシフトやバリューチェーンレベルの変革断行などグループ全体のポートフォリオを見直しながら、常に危機をチャンスに変える強力な一手を打ち続け、力強く業績を伸ばし続けている。