あるクライアントから、自社の中期経営計画において、「成長事業領域と定義された枠組みの中で、目標数値のみが先行して置かれているものの、具体的に何をやったら良いかが分からないので、支援してほしい」という相談をいただきました。当初は、既存事業では取り組んでいない新しい事業領域をつくることを目指し、外部環境の変化などを起点に検討を進める中で、重要視している「B2B2C」という世界観を生かしつつ、新しいサービス事業領域(これまで全く接点のない領域)をその対象とするのが有力な候補となりました。しかしながら、この未知の領域への参入を検討するという合意形成には至りませんでした。
本件の相談者は、「当該検討の背景としての事業計画における成長事業とは何か」、また、定義として「どの程度の事業規模を実現するか?」といった検討も必要という認識をお持ちでした。すなわち、新規事業単体での領域選定ではなく、既存事業も含めた事業全体のポートフォリオや規模感も併せて定義することで、新規事業としての焦点を明らかにする必要があったのです。そうした懸念を解消するために、アビームコンサルティングの支援として、領域・事業計画の検証から立ち返りつつ、新規事業の検討を実施することになりました。並行した2つの検討が走ったことで、「新しい取り組み」というコンセプトの構想を策定するための着想の議論をしつつも、後半は、目標とする収益獲得のためにどの領域で何をするかという検討を進めていくという方向転換をすることができました。
コンセプトの着想において様々な視点で検討するという自由度を持たせたプロセスは重要ではあるものの、自社の事業計画の中で新規事業領域を定義しているのであれば、経営層や経営企画部門など事業計画を取りまとめている側から検討チームに対して以下のような論点に答えられるような検討のガイドラインを示すことが必要となります(図1)。