2018年8月2日、3日の2日間にわたり、慶應義塾大学日吉キャンパスにて「SPORTS X Conference 2018」が開催されました。
本カンファレンスは、慶應義塾大学と日本経済新聞社の共催により開催され、弊社はブース出展とセミナー講演を行いました。来場者数は約1,000人、昨年比10%増と盛況なカンファレンスとなりました。
我々も多くのスポーツ関連のカンファレンスに参加していますが、ビジネスとしてのスポーツへの関心が年々高くなっていることを感じます。
今回のカンファレンスは、“inter-DISCIPLINES(異業種の交流)”をテーマとしており、スポーツを取り巻く課題やそこから見えてくる本質的なスポーツの価値について、「スポーツ×〇〇」の視点で考えるというものでした。
我々も、このテーマは現在のスポーツ産業において最も必要なものと考えています。
みなさんはスポーツ産業と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
恐らくプロスポーツチームやリーグのビジネスでしょう。
しかし、チームやリーグは、スポーツ産業を構成するプレーヤーの一つです。スポーツ産業は、チームやリーグといったコンテンツを持つプレーヤー(コンテンツホルダー)と、そのコンテンツを活かしてビジネスを生みだすプレーヤー(コンテンツユーザー)によって構成されています。
しかしながら、現状、コンテンツの活用は、“試合というコンテンツを観客に見せてお金を稼ぐ”ということが中心となっています。つまり、チームやリーグは、試合というコンテンツしか十分に活用できていないということです。チームやリーグには、多くの魅力的なコンテンツがあります。チームの歴史(ブランド)、選手そのもの、選手の歴史(生い立ちストーリー)、選手のデータ、試合のデータ、選手育成ノウハウ、ファンの属性情報、スタジアム・アリーナという場所、地域との関わり、などです。
こうしたコンテンツを活用できるコンテンツユーザーを探し、繋ぎ合わせ、新たな価値を生むことがスポーツ産業には求められています。
例えば、ファンの属性情報を活用し、保険会社と連携することも考えられます。ファンの生年月日や結婚の有無などが分かれば、最適なタイミングで保険商品をプロモーションすることが可能となるからです。これは「スポーツ×保険」というinter-DISCIPLINESにより、新たな収益源を創出するものです。欧州のプロサッカーチームなどでは実際に取り組んでいるようです。
日本ではまだこのような事例は少なく、収入源はチケットやグッズ販売を中心としているため、チームやリーグの財政規模が欧米と比較して拡大していません。その点で、「inter-DISCIPLINESは、スポーツ産業を発展させる重要な視点である」と考えています。
また、スポーツ庁の鈴木大地長官も本カンファレンスの講演の中で、オープンイノベーションを推進することが重要とのお話をされていました。
スポーツ庁は、2013年時点は5兆円のスポーツ産業を、2025年までに15兆円の規模に成長させる、という目標を掲げています。その達成に向けて、皆が協力し、「スポーツ×○○」というオープンイノベーションによって価値を創り出していこう、ということです。