小売・流通

小売事業者には、非連続な環境変化、多様化する消費者ライフスタイルへの対応が求められています。

販売チャネルの観点では、店舗、ECに加え、メタバース（仮想共有空間）の活用で、自宅にいながらバーチャル空間で店舗を買い回り、実物を見ているように商品を確認する新たな顧客体験の提供への期待が高まっています。また、新たな顧客体験の提供を支えるラストワンマイル（お客様に物やサービスが到達する物流の最後の接点）の重要性も増しています。

実店舗における出店計画・店舗形態の変化、品揃え（商品ラインナップ）の見直しが求められ、不確実性の高い時代において、自らの存在意義を軸に戦略、商品、サービスを品揃えし、顧客に自らの提供価値を示していく必要があります。

業務プロセスの再構築、業務の最適化、新たな顧客体験の創出、顧客経験分析、OMOプラットフォームの構築、MFC（マイクロフルフィルメントセンター）構築などのソリューション、ノウハウを用い、次の時代を生き抜くためのビジネスモデル構築などへの取り組みが求められます。

小売業界の多くは多店舗経営を行っており、効率的なエネルギー利用はコストダウンはもとより環境負荷軽減にも直結する重要な経営アジェンダの一つです。

一方、消費者観点では、サステナブルな商品や企業の取り組み姿勢を消費基準としたエシカル消費が拡大し、小売業者にもサステナビリティの取り組みに関する開示が求められています。

また、投資家は、投資期間中の社会環境や自然環境の変化に対応し、ビジネスリスクが顕在化した際に再生できるレジリエンスが投資先にあるかを注視しています。

こうしたステークホルダーの要請・期待に応える取り組みには、グリーントランスフォーメーションの推進、環境問題を考慮したビジネスモデルへの変革、ESG経営の実践などがあげられます。たとえば、カーボンニュートラルの実現には、GX戦略のロードマップ策定やGX推進状況のモニタリングは欠かせず、企業内外に散在するさまざまな非財務情報の収集と蓄積、分析と可視化がESG経営を促進します。

これらの取り組みをとおして、企業は従業員・顧客・株主を中心としたステークホルダーとの関係性構築、予測困難な環境下でのレジリエンス強化、人材定着・採用力強化など自社・業界課題の解決につながるさまざまな恩恵を受けることができます。