これまでも「働き方改革」は2010年代以降、日本政府が掲げる施策に従い、従業員ひとり当たりの生産性向上、離職率の低下、従業員満足度の向上などを目的に生命保険会社でも「週1テレワーク」など取り組んできた。真の「働き方改革」は「社員の要望を聞く」ことではなく、場所がどこであっても、環境がどう変わろうとも会社が求める生産性を常に発揮し続けることができる社員と、社員の貢献を正確かつ合理的に評価し、濃淡をつけて成果に報いる両者のプロフェッショナルとしてレベルの高い関係性によって業務を遂行する姿を言う。ある金融機関では、社員が自ら役割を提案、それに自らをアサインする仕組みを制度化し運用を開始させるなどの動きがある。「社員自らが能動的に課題認識を持ち、解決を自らが担うことを提案することでポストが設定される仕組み」である。
真の「働き方改革」を実践できる社員が抱える不満を想像できるだろうか。場所や環境、役割が変わっても能動的に生産できる優れた人材は、形式上採用されるテレワークで「姿を見かけない社員」の分までアウトプットする必要があるにも関わらず、待遇面は変化がなく評価につながらないどころか、改革に迫られる会社のミッションを担って業務終了時間がさらに遅くなる。この社員が同レベル以上の待遇かつより高いレベルで業務を進める環境(会社)が他にあることに気付いた場合、退社を検討しても会社は引き止めることができないだろう。
「スタンダード・シフト」を踏まえて有効と考える具体的行動を2つ考える。
① 目指す姿を実現した人が評価される制度の導入
今すぐにできることは、重要視する人材像を具体化し、目指す業務遂行の姿を定義することだ。しかし、目指す姿を定義することより困難なのは、企業規模や環境によって膨大に存在する実行における論点に立ち向かうことである。ルールや規定を作ることは制度導入の第一歩に過ぎず、スキルの定義からチェンジマネジメントまで論点は多岐にわたる。(参考:関連弊社支援メニュー: ※6)
② 能力/意欲ある社員への機会提供
仕組みにおける改革を進めると同時に重要視すべきは教育・育成コンテンツの充実である。全社員(場所を問わず)がその姿に近づくための機会を提供し、改革を継続することが重要だ。社員が成長すると同時に提供される機会/コンテンツも成長することが求められ、社員の現時点におけるレベルに合わせてコンテンツを充実させることは、結果的に最小の機会提供コストになる可能性が高い。(参考:関連弊社支援メニュー: ※7)
COVID-19によって突然「本番」がやってきてしまった。
我々は、「スタンダード・シフト」を好機と捉える生命保険を支援する準備ができており、クライアントと変革を推進することで新たなサクセスシナリオを共創したいと考えている。