少子高齢化やマーケットの成熟化、ビジネスのグローバル化など企業を取り巻く環境は厳しさを増し、リース会社やリース事業を保有する企業においても、持続的な成長のために収益性の向上が喫緊の課題となっている。本インサイトでは、リース事業を抱える企業グループに向け、今後のリース会社の役割と新たなビジネスの方向性について考察・提言したい。
少子高齢化やマーケットの成熟化、ビジネスのグローバル化など企業を取り巻く環境は厳しさを増し、リース会社やリース事業を保有する企業においても、持続的な成長のために収益性の向上が喫緊の課題となっている。本インサイトでは、リース事業を抱える企業グループに向け、今後のリース会社の役割と新たなビジネスの方向性について考察・提言したい。
まず外部環境に目を向けてみよう。より不安定な世界情勢、商品/事業の超短期サイクル化など、近年急激な変化が断続的に起きており、企業を取り巻く環境は不安定さを増している。(図1参照)
これまでリース会社は、民間企業の設備投資需要に応えるだけではなく、ユーザー企業に対しモノ特有の運営・管理にかかる規制等への対応や、付随する様々なサービスを提供してきた。そのため他の金融業と異なり、モノに関する知見やノウハウが豊富である。モノの「所有」から「利用」へ意識がシフトし、提供形態が変わる中、これらのノウハウは、新ビジネス領域への展開において強力な武器となる。
また、リース会社は金融機能を持っているものの、一般の事業会社であるため公的サポートが期待される立場にはない。そのためリース会社自身が積極的にリスクをとって事業に挑戦し、独自のリスク管理機能を高度化させてきた。その結果、近年では高度化させたリスク管理機能を活用し、リース以外の事業でも収益を上げてきている。(図2参照)
リース会社を持つ企業グループが新たな収益基盤を獲得するためには、このようなリース会社が持つ強みを理解し、本業とシナジーが見込める事業領域を見極めることがポイントである。
例えば、銀行にとっては物融へ進出する出島としてリース会社を位置づける。商社にとっては事業のパートナーとして位置づけ、リスクをシェアしながら事業への投資を行う。メーカーにとってはサブスクリプションビジネスを実現するため、リース会社の資産管理機能や資金回収機能を活用する。このように事業におけるリース会社の役割を再定義し、協働することでグループ全体の企業価値を向上させることが可能となる。
近年においては企業グループの垣根を超えた、異業種との事業共創が加速している。その中で、リース会社は、業種を繋ぐ協働のハブとしても重要な役割を果たし始めている。具体的にはオートリース会社による、自動車メーカーとIoTテクノロジーを融合させたMaaSサービスの提供や、リース会社主体でメーカーや運営会社と共同で設立した事業体による太陽光発電などである。これらはリース会社が強みとする、「金融×モノ」のノウハウ等を活用した成功例であるといえる。
このように更なるビジネスの拡大には、リース会社をハブとしてグループにおける強みを活かしながら、補完的役割をグループ外の異業種、スタートアップ、大学・研究機関等とのパートナーシップで充足させる、いわゆるエコシステムを形成することが重要である。(図3参照)
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