R&D部門の方々からの相談を受ける中で意外だったのは、とある技術を説明いただく際に具体的な実装された際の機能を例示していただくことが多く、技術に精通していなくてもユースケースをイメージできる反面、技術そのものの独自性が失われて見えてしまう点です。R&D部門の方々としては良かれと思い、こうした技術を機能へ変換した説明を行っているようですが、事業開発の検討では逆効果となるケースがあります。なぜならば、技術力を特定の機能と読み替えて、その機能で解決できることが○○です、というような「Nice to Have」を実現するための技術という見せ方になり、技術が本来持つ価値を活かしきれなくなってしまうためです。
これを回避し、技術力を新たな競争力として正しく捉えるためには、R&D部門の方に詳細なヒアリングをする必要があります。例えば、APIなどで活用が広まっている画像解析一つ取っても、静止画像の見分けが得意なのか、動画における挙動の特徴を捉えるのが得意なのかなど、その背景にある技術の強みはそれぞれ異なります。対象技術がどういった分野や状況において力を発揮し、どういった状況では特徴が出ないのかを様々な角度からヒアリングし、技術の独自性や優位性を多面的に捉え、根源的な要素を抜き出していきます。そうして対象技術が持っている「価値の源泉(特定文脈、環境下で唯一性を発揮する)」を特定することにより、技術がどのような事業に活用できるか、視野を広げて検討することができるようになります。価値の源泉については、別のコラムで詳しくご紹介します。
企業がこれまでどのような研究を行い、知見を蓄積してきたかによって、対象技術にどのような「価値の源泉」があるかは異なりますが、それらを事業に繋げていくアプローチには共通する部分が多く存在します。強い技術力がありながら、事業開発に生かしきれてないという企業のご担当者は、是非一度ご相談ください。新しい観点で自社の技術力を認識するための支援をさせて頂きます。