DX推進の目的が既存のビジネスモデルの変革へと進化する中、リーダーシップチーム※による企業風土・カルチャー変革の必要性は高まっている。特に、DXを通じた新しいビジネスモデルへの変革を考える場合は、その推進を後押しする風土・カルチャーの変革が必要となることは大きな課題として認識されている。
DX推進の目的が既存のビジネスモデルの変革へと進化する中、リーダーシップチーム※による企業風土・カルチャー変革の必要性は高まっている。特に、DXを通じた新しいビジネスモデルへの変革を考える場合は、その推進を後押しする風土・カルチャーの変革が必要となることは大きな課題として認識されている。
経営会議メンバーで構成され、DXに関する意思決定をする集団のこと
特に、新しいビジネスモデル構築の難易度は高く、そのための風土・カルチャー変革においては、「フラットな組織のもと、心理的な安全性を提供しながら、様々なプレイヤーとの協業にも取り組み、トライ&エラーを繰り返すことを許容する風土・カルチャー」を目指すことが重要となる。また、成果につなげるためには一定の規律を保つ必要もある。この点で、リーダーシップチームの果たす役割は大きい。
DXを通じた企業変革を支えるための風土・カルチャー変革において、アビームコンサルティングではリーダーシップチームが果たすべき役割として、以下のポイントが重要だと考えている。
①フラットな組織を維持しながらも、戦略的な方向性・優先度は明確に定義する
アジャイル組織の立ち上げなどによって自律的な運営を目指すと、複数チームが同時並行で業務を推進することで戦力が分散し、過度に自由度が高まるリスクもある。このような状況ではリーダーシップチームによる戦略に基づく方向性・優先度の明示が重要となり、イニシアティブに関する評価項目・基準を定義することが必要となる。
②心理的安定性を提供すると同時に、双方向の議論を促進する
オープンな雰囲気の中で活発な議論が行われることが望ましいが、実際には影響力の強い一部メンバーによる発言が全体の流れを作り出すケースも多い。そのため、影響力のある発言であっても、建設的なレビューコメントを可能にする仕組みが重要となり、360度フィードバックなどによるコミュニケーションリスクの把握が必要となる。
③他部署・外部との協業を促進するも、個人としての責任も明確化する
協業は各種知見を持ち寄って創造的な検討するためには必要な取り組みである一方で、成果創出に向けた責任の所在があいまいになりがちでもある。この対策としては、デジタル変革の成果創出に関する個人の責任範囲を明確にすることが重要で、取り組みの開始時に、個々人に対して成果責任のKPIを明確にすることが必要となる。
④トライ&エラーを許容する一方、高い期待値設定や仮説進化を奨励する
失敗を恐れない積極的な取り組みの姿勢は不可欠であるが、過度な自由度は許容しがたいところがある。不確実性・難易度ともに高い取り組みであることを考えると、まずは高い能力を持つ人材による実行や、一つの仮説に固執することなく更新・進化することを奨励する仕組みが重要となり、登用人材要件の厳格化や評価項目の工夫が必要となる。
DXに限らないが、企業変革においては後付けの風土・カルチャー変革ではなく、戦略変更に先んじて戦略的に風土・カルチャー変革に取り組むことが成功要因となる。風土・カルチャーをテコにした変革の実行に向けて、リーダーシップチームの果たす役割は大きいと言えるだろう。
菅田 一基
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