前期プログラムの参加者で新しい道に一歩踏み出した学生3名の行動分析を考察すると、
まず、1人目のAさんは転職に悩む社会人大学生だったが、メタバース上で初心者コミュニティに参加し、職場を退職してプログラム後の夏休みにやりたいことに挑戦した。次に自らの学生生活に悩む大学生Bさんは留学を決意し、後期から留学準備を始めるという。そして3人目の就職先に悩んでいた大学生Cさんは、メタバース上の様々なワールドを自発的に巡り交流し、沖縄で予定していた就職先を東京に変更したのだ。
3人の共通点として、プログラム以外でも、メタバース空間で他のコミュニティや他のイベントに参加しコミュニケーションを取っていたこと、また新しいことをするという体験は、人をポジティブにする傾向があり、3人ともリアルと同じ感性でメタバース空間に接し、そこを「新しいことを実践する場」にできたことから、現実でも新たな方向へ気持ちが動いたのではないかと分析できる。
大角氏は「こうした学生の変化は、客観的なアンケートなどで実証するのは難しいですが、間近で見ると学生たちの変化が明確に分かります」と述べた。新しい道に進むきっかけを構成する要素は複数あるが、その一つとしての経験をメタバース空間で代替でき、経験の場、実践の場として活用し、意思決定をサポートできる可能性があるのだ。
今回の検証から、メタバースが心理的安全性構築をサポートすることにより自己開示を促進し、1on1やディスカッションをより効果的に実施できること、また経験の場、実践の場として活用することでお金や距離に関係なくクイックに学習をより効果的にでき、メタバースにより教育をアップデートできる可能性を捉えることができた。
後期プログラムでは、学生が考えるサービスの価値が助けたい人の悩みを解消できるかを検証するために顧客体験設計を実施予定で、現在メタバース空間の開発を推進中だ。新規事業アイデアの検証の場としてこれらを活用できるか、可能性の模索は続いている。
アビームコンサルティングは、教育の他にも金融業界などにおけるメタバースサービスの相談にも対応している。今後もクライアントのニーズに応じて最適な体制で支援、伴走していく。