世界各国でカーボンニュートラルを目指す取り組みが加速する中、国内においても2050年カーボンニュートラル宣言がなされたことにより、GX(グリーントランスフォーメーション)が、あらゆる業種・業界において最重要のアジェンダとなっている。また、投資家をはじめとするステークホルダーにおいても、ESGの観点からサステナビリティ情報の開示を企業に求める意識が高まっている。こうした流れを受け、2021年6月にはコーポレートガバナンス・コードが改訂され、プライム市場上場企業に対してTCFD※1、またはそれと同等の国際的枠組みにもとづく気候関連の情報開示が求められるようになった。また、2023年1月には、「企業内容等の開示に関する内閣府令」が改正され、有価証券報告書などにおいて「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設され、サステナビリティ全般に関する開示の他、人的資本や多様性に関する開示、コーポレートガバナンスに関する開示など、開示すべき項目が拡充された。
アビームコンサルティングは2023年10月、「TCFD提言に沿ったシナリオ分析、財務インパクト評価に関する動向調査」を実施した。その分析結果から、これまでの同種の調査からは見えなかったTCFD提言に向けた対応状況や業界特有の特性や検討のポイントが明らかとなった。