DX推進によるビジネス変革の裏には、技術の進展が副作用として生じさせた新たなプライバシーリスクが潜んでいる。新たなリスクの台頭と消費者によるプライバシー保護意識の高まりを受けて、プライバシーに係る各種法規制も厳格化の傾向にある。
今回のインサイトでは、企業がDX推進を円滑に進めるためにも知っておくべきDX推進に潜む新たなプライバシーリスクや法規制への対応を行うためのポイント、効率的かつ網羅的な見直しを行うための方法を解説する。
DX推進によるビジネス変革の裏には、技術の進展が副作用として生じさせた新たなプライバシーリスクが潜んでいる。新たなリスクの台頭と消費者によるプライバシー保護意識の高まりを受けて、プライバシーに係る各種法規制も厳格化の傾向にある。
今回のインサイトでは、企業がDX推進を円滑に進めるためにも知っておくべきDX推進に潜む新たなプライバシーリスクや法規制への対応を行うためのポイント、効率的かつ網羅的な見直しを行うための方法を解説する。
常盤 隼
DX推進によるビジネス変革と、変革の裏に潜む新たなプライバシーリスク
近年では、AIやIoT等のDXのめざましい発展を受けて、今までの常識を打ち破るような新たなビジネスやサービス等が次々と台頭してきており、企業を取り巻く環境は過去に例のないスピードで変化している。一方、既存ビジネスの変革の裏には、新たなリスク(消費者のプライバシーに係るリスク)が潜んでいる。
AIやIoTによるビジネス変革の例
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分類 | ビジネス変革の例 | プライバシーリスクの例 |
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AI |
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IoT |
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このような状況に拍車をかけるように、昨近では消費者によるプライバシー保護意識の高まりも見られるため、プライバシー保護対策を怠ることで、社会的信頼性の損失や収益悪化リスク等も顕在化しうる。
プライバシーに係る各種法規制の厳格化
このような新たなプライバシーリスクの台頭や消費者によるプライバシー保護意識の高まりを受けて、各国のプライバシー関連の法規制も、より厳格化の動きを見せている。
各国のプライバシーに係る法規制の動向
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法規制 | 動向 |
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GDPR (欧州) |
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CCPA (米国) |
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個人情報保護法 (日本) |
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「規範・法律」「プロセス」「人・組織」「テクノロジー」の観点で網羅的な対応が求められる
新たなプライバシー関連リスクへの対応を怠ると、思わぬところで企業の成長を阻害することになりかねないため、確実な対応が求められる。ただし、体制を見直すだけ、システムを刷新するだけ、プロセスを見直すだけ等、片手落ちの対応では根本的なリスク低減にはならない。根本的なリスク低減のためには、 ABeam Security® で提唱している「規範・法律」(社内規定やルール等)「プロセス」「人・組織」「テクノロジー」※のすべての観点で網羅的な見直しを実施する必要がある。
企業に求められる対応の一例
分類 | 企業に求められる対応の一例 |
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規範・法律 |
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プロセス |
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人・組織 |
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テクノロジー |
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ABeam Security® が提唱する情報セキュリティ対策における4つの観点(Security Quadrant)
対応のメリット
これらの見直しを実施することは、プライバシーに係る各種法規制への違反リスクを低減するだけでなく、企業の収益拡大にもつながるだろう。
プライバシー保護強化による収益拡大への寄与(例)
分類 | 収益拡大への寄与(一例) |
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規範・法律 |
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プロセス |
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人・組織 |
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テクノロジー |
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対応ステップ
プライバシー保護強化を確実に遂行するためには、下記ステップで対応を進めることが望ましい。
自己評価においては、法律に準拠することが企業としては最優先であるため、プライバシーに係る各種法規制の条文単位で対応状況を評価する必要がある。その際に、日本国内のみでビジネスを行う企業であっても、海外からでも利用できるサービスを展開している場合等は、GDPRやCCPAの規制対象となり得るため、個人情報保護法に加えてGDPRやCCPAへの対応状況も評価することが望ましい。
また、各種法律への対応状況を評価する際には、単純に各条文への対応状況を確認するだけでは、課題の網羅的な洗い出しはできない。例えば、消費者からの個人情報の開示・削除要求等に対応するための窓口は設立したが、対象データの特定から消費者へ開示するまでの業務フローが整備できていない、開示・削除業務を実施する担当者に手順等の教育が行き届いていない等、片手落ちの対応となる懸念がある。
このような状況を回避するためには、自己評価を実施する前に、まずは評価項目を網羅的に洗い出す必要がある。例えば、当社が提供する「プライバシー法対応評価と対策支援サービス」では、Security Quadrantに基づき「規範・法律」「プロセス」「人・組織」「テクノロジー」の4つの観点で評価項目における自己評価を実施することで、全方位的な課題の洗い出しを行っている。また、当該4観点の勘所を抑えた当社コンサルタントが支援するため、自己評価を効率的に進めることができる。
変化の激しい昨今では、競合他社による革新的な製品・サービス等の提供による既存市場の圧迫や、今までまったく想像もできなかった領域からの市場参入等、従来通りのビジネスだけでは生き残れないリスクがある。このような時代で企業が生き残るためには、積極的にDXを推進し、常に新たなビジネス機会の創出や革新的な製品・サービスの提供を実施し続ける必要がある。
一方で、新たなビジネスや製品・サービスは、新たなプライバシー関連リスクを伴うため、顧客のプライバシー保護強化にも取り組み続ける必要がある。顧客のプライバシー保護強化は、プライバシー関連リスクの低減だけでなく、大量の個人情報の分析によるマーケティング戦略の改善等、企業の収益拡大もつながるだろう。
このようなリスク低減・収益拡大を継続的にスパイラルアップするためには、まずは地に足をつけて、自社がどの程度プライバシー関連リスクに対応できているか、専門家の知見、支援等も活用した自己評価を実施したうえで、課題点を明らかにし、対応を進めることが必要となる。
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