今世紀に入って、社会や技術の変化速度は急速に増加してきている。企業や組織は、VUCA(Volatility/変動性、Uncertainty/不確実性、Complexity/複雑性、Ambiguity/曖昧性)の時代であることを前提に運営をする必要に迫られている。
かかる状況下、2020年9月、サステナビリティや統合報告書の基準とフレームワークなどを提供するCDP (Carbon Disclosure Project)、 CDSB(the Climate Disclosure Standards Board)、GRI(the Global Reporting Initiative)、IIRC(the International Integrated Reporting Council)、SASB(the Sustainability Accounting Standards Board)の5団体は共同声明「Statement of Intent to Work Together Towards Comprehensive Corporate Reporting」において、『ダイナミック・マテリアリティ』の概念を提示した。
『ダイナミック・マテリアリティ』とは、サステナビリティやESG課題にとって、「何が重要であるかという概念は、より変化しやすく、より複雑になってきている」※1ということを示す概念である。共同声明では、マテリアリティ(重要課題)がダイナミック(動的)なものであることを強調し、以下のように指摘している。