「2024年問題」ではトラックドライバーの人手不足にフォーカスされがちだが、物流センター内でも慢性的な人手不足が続いている。さらに、取り巻く環境(災害・疫病、労働力確保の競争激化、物流負荷の高まりなど)が大きく変化していることを考慮すると、物流センターのデジタル化・省人化・自動化の推進は避けられない。従来のリソースに頼り、目先の業務を乗り切る短期視点の運営から脱却し、今後起こりうる環境変化への適用を検討する必要がある。
先に、物流センター内でのトラックの荷待ち時間が多く占めていると述べたが、荷待ち時間の短縮にはデジタルを活用していくのが近道だ。
例えば、TMS(輸配送管理システム)でトラックの入構時間を管理、コントロールすることで、バース(物流センターでトラックが接車し、荷物の積み下ろしをする場所)へのスムーズな誘導が可能になる。また、トラック接車後の時間を短縮することも重要になる。庫内の作業進捗や作業者リソースを加味した、現場作業者への的確な配置指示(何人・誰を・どこに)を行うことで、接車後すぐに入荷荷捌き等の作業を行える庫内オペレーションの実現が可能となる。このようにトラック入構予定や庫内の作業進捗・作業者リソースを正しく捉え、オペレーションに活かすことで、トラックの構内滞留時間の短縮が実現できる。
考慮が必要なのは、自動化が推進されると庫内オペレーションの難易度は上がるという点だ。柔軟性が高い人中心のオペレーションから自動化が推進され、各工程に人と自動化設備が共存すると現場のオペレーションコントロールは複雑性が増し、現場を正しく捉えることが難しくなる。
そこで、リソース・モノ・プロセスを統合管理する倉庫実行システム(WES)をシステム基盤として活用し、物流センター全体の生産性を最大化するオペレーションを実現することが必要となる。
マテハン・ロボットとの接続性の簡易化、また、人を含めたリソースの制御・稼働データ取得によるプロセスとの統合管理が可能な倉庫実行管理システムにより、人やロボット・自動化設備等への現場への最適な指示出しが可能となり、倉庫業務全体の最適化や生産性向上に期待ができる。なお、当社ではWESを活用した物流センターのDX支援を行っており、YEデジタル社の倉庫自動化システム「MMLogiStation」を軸としている。大きな特長として、メーカーの制約がないため自由に設備を選択・追加が可能、また、プラグイン機能を有している為WCSとも簡単に連携できる。