1.参入障壁
環境分析による市場細分化と優先エリアの順位付け等はさることながら、サービス展開に必要となる資金移動業ライセンス、また外国人労働者にリーチするチャネル開拓が必要となり、当該市場には一定の参入障壁がある。障壁クリアのために外部補完も考慮する必要がある。但し、KP(キーパートナー)にVP(価値提案)とCR (顧客との関係) ロックされない仕組み作りが必要になる。
2.顧客価値:CS(顧客), VP(価値提案), CR(顧客との関係), CH(チャネル)
①ペイロールサービスの拡大施策
前述の通り、ペイロールは主に4つのサービスを顧客へ提供し得るものである。
また、早期にチャネルカバレッジ及びチャネル統制を実現するため、外国人採用企業の割合が高い地域、業界等の細分化基準を定め、特定ターゲットを定義することで提携先を選定する必要がある。一例だが、地域別であれば関東、中部、近畿の順で外国人労働者が多く、業界はサービス業、製造業の割合が全国的に高水準となっている。
②顧客セグメントに適合する海外送金サービスの展開
国籍等により送金に係る嗜好性が分かれるため、ターゲット層に適したサービス設計が重要となる。ペイロールサービスにおける法人取引とは異なり、外国人労働者との関係性構築が重要となり、店頭、モバイル、KIOSK端末等の送金手段の多様性確保も必要になってくる。
3.バリューチェーン:KP(キーパートナー),KA(主要活動),KR(キーリソース)
アライアンスを活用して迅速に市場参入することで、先行者メリットを享受できるかが重要となる。もちろん、市場参入パターンによって、調達すべきバリューチェーン上の主要パートナー、活動、リソースが異なってくる。
例えばペイロールの場合、「資金移動業の資格を保有しているが、管理システムやオペレーターを保有していない企業」は、運用委託が可能な企業とアライアンスするとともに、外国人労働者へリーチするために企業や監理団体へアプローチすることが重要になってくる。
一方、海外送金の場合、「資金移動業の資格を保有している企業」であれば、現地オペレーターを保有している企業とアライアンスを組むとともに、海外送金ネットワークやチャネル拡大に注力することが重要になってくる。
最後に、上記考察で想定できるプレイヤー関連図を例示する。この図のように、ペイロールに取り組むにあたって関係するプレイヤーは広範で多用である。