自社でサブスクリプション型ビジネスを検討するにあたり、例えば次のような課題に直面していないでしょうか?
従来同様のコスト積上げ方式でプライシングした際の厳しい勝算見込み、サービス強化を担う機能立上げやサービス開発方法、請求計算などのオペレーション設計のナレッジの不足、顧客との継続的な関係構築のためのタッチポイントの設計の難しさ、短期的なKPIを求めるマネジメントとの価値観の違い、従来の売り切りの販売契約ではないサービス契約が書き上げられない、などです。これらは一例ですが、このようにサブスクリプション型ビジネスを検討すると、従来型のビジネスモデルやオペレーションと相反することが多々現れます。
B2B企業の具体例として、我が国産業を牽引し、名目GDPにおける産業別構成比で約20%を占める製造業を挙げて考えてみます。
日本の製造業においては完成品メーカーばかりでなく、部品メーカーも多く、最終製品の基幹部品を担っていることも特徴の一つといえます。例えば、部品メーカーにとって顧客は、完成品メーカー、エンドユーザーどちらもなり得ますが、いずれの場合でも自社のみで意思決定・実行できないケースがあることがサブスクリプションビジネスを難しくしている要因の一つと考えられます。
顧客数の観点では、特に重電系では業界プレイヤー数が限られているため、B2Cビジネスのように見込み顧客の母数を大幅に増やす事が難しく、サブスクリプション型ビジネスで重要な顧客数が頭打ちになってしまうという制約もあります。
サービス利用の継続期間の観点では、自社の提供するプロダクトが法定検査の必要な業種で活用されている場合には、定期的に検査・部品交換されることになるため、プロダクト提供している業種にとって効果的なプレディクティブ・メンテナンス (予知保全)の提供価値が得にくくなるケースもあります。
蛇足ですが、良くも悪くも阿吽の呼吸でビジネスを行ってきた日本企業にとってはプロダクトに付帯するインストールやアフターサービスなどの各種機能が「サービス(=無料)」と顧客から受け止められる/強いられる慣習も見受けられます。これは、これまでの提供価値をアンバンドリング(分解)してサービス化することを困難にしており、サブスクリプション型ビジネスとしての実現を難しくしている一つの要因かもしれません。