弊社が2018年に調査した「事業開発における成功企業と失敗企業を分けるもの」の中で、調査項目40項目の中で以下7項目が、成功した企業に共通する項目として抽出されています。
事業開発の成功と失敗を分ける要因:上位7項目
1位:プロトタイプの顧客反応が確認できている
2位:新規事業の営業マネジメント手法が確立できている
3位:事業立ち上げに必要なタスクを理解・特定できている
4位:起案時に求められるコンセプトのレベル感が理解できている
5位:技術・顧客の変化に対応できている
6位:継続的な儲けの仕組みがコンセプト段階で考えられている
7位:事業開発担当者の強い想い(パッション)がある
結果を眺めていくと、ある程度予想通りだった項目と、若干意外だった項目が並んでいます。予想通りの項目としては、1位:プロトタイプ活用、2位:新規事業の営業、5位:技術や顧客の変化に対応、6位:儲けの仕組み、7位:強い想い(パッション)、です。これらは、これまで多くの事業開発に携わってきた中で、都度都度「大事だ」と感じてきている項目だからです。
しかし、4位:立ち上げ時のタスクの理解、5位:コンセプト策定時のレベル感の理解、といった項目に関しては、確かに大事だと思うものの、こんなにも上位に挙がるものなのかというのが、最初に調査結果を見た際の印象でした。とは言え、タスク、手順、アウトプットのレベルなどが明確でないと、事業開発のプロジェクトの中で混乱が生じ、活動が停滞してしまうという様子が思い描けます。どうやら犬と馬のような異能が同居する事業開発というプロセスの中では、仕事を進めていく上での『共通言語』がある・ないでその成功確率が大きく変化しているという結果が出たのです。
また、前述の調査では、新規事業の立ち上げまでの期間は、全体の2/3の企業が1年以上かかっている、1/3の企業が3年以上かかっているという結果が出ていました。大企業、中堅企業を主な調査先としていたこともあり、スピード感に欠ける結果となっています。そんな中、海外のベンチャーと日本の大企業が組んで新たな事業を立ち上げる機会が増えつつありますが、同時にベンチャー側から「日本企業は動きが遅いので組みたくない」という声を聴く回数が増えてきています。日本の大企業はスピードが足りない、アジリティが足りないと良く言われますが、混乱が生まれがちな事業開発だからこそ、『共通言語』をもってスピーディにアジリティをもって進めることが大事になってきます。