前回レポートでは経営戦略とRAFに関する基本的な概要を述べたが、今回からは詳細内容について順次説明していくこととしたい。国内銀行において本格的なRAF態勢はまだ構築されておらず、形式要件のみをクリアしているような状況であることから、RAFの導入目的や導入の有効性等が明確に理解されているとは言い難い。すでにマイナス金利政策発表から1年経過し、2017年3月期決算では利鞘縮小に伴う影響が大きく出ることが予想される中、一方ではフィデュシャリー・デューティー(Fiduciary duty)やESG(環境:Environment、社会:Social、ガバナンス:Governance)といった言葉が飛び交い、銀行の企業としての様々な責任が問われるような環境に変化してきており、その意味でも経営者が明確に方針を示すRAF態勢を構築することは重要である。
今回はRAF態勢構築を目指す中で、まずは会社組織全体の業務運営上の整合性について着目し、中期経営計画策定とその位置づけという観点でガバナンスのあり方を考察する。