では、中核事業とは何でしょうか。それは、字義通り、自社あるいは自グループの中核となる事業です。ただ、中核という言葉も曖昧です。それは売上規模で10億円なのか、100億円なのか、1,000億円なのか。それとも利益規模をもって中核とみなすのか。恐らく多くの企業において、マネジメント陣と新規事業開発部門との間でもイメージの共有ができていないのではないでしょうか?新規事業開発では、「目指す事業規模は明確になってますか?」「それをどれくらいの時間軸で実現しようと考えていますか?」この二つの問いに明確に答えれない、あるいはマネジメント陣と認識共有ができていないと、現場が疲労し、新規事業開発は失敗に終わるケースが多くなります。
結論から言うと、中核事業の規模は、企業規模によって異なります。売上高1兆円の企業、1,000億円の企業、100億円の企業を比較すると、中核事業の規模は、当然のことながら売上高が大きい企業の方が規模は大きくなます。そのため、将来の中核事業として新規事業が目指す規模も大きくなり、新規事業開発の難易度は高まります。
100億円規模の企業が検討する新規事業は、一般的にいう新製品・サービスを開発するレベルで中核事業をつくるという目標を達成できるかもしれません。ただ、売上高1兆円規模の会社が目指す新規事業は、5~10年で最低1,000億円規模は必要となるのではないでしょうか。この規模になると新製品の売上だけで目標を達成することは到底困難な水準となります。
そのため、特に売上規模の大きい企業において、検討対象となるのが、M&Aです。ただし、検討にあたり、あらめて認識しておく必要があるのは、M&Aはあくまでも手段の一つであるということです。昨今M&Aが一般的な手段となったことで、事前にM&Aの金額枠を予算設定するようなケースも多くなったと思います。ただ、枠があるとそれを消化したくなり、結果M&Aすること自体が目的化してしまうことが多々あります。この手段の目的化を防ぐために、新規事業のコンセプトおよび目的を明確にした上で、M&Aを検討するというステップを踏む必要があります。