With/Post COVID-19における小売業は、今後の業界動向を見据え、大きく4つの経営アジェンダに対応していかなければならない。
① ニューノーマルな消費者を支える新しいビジネスモデルの確立
マクドナルド等のファストフードやカフェで普通になりつつあるBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)やセブン-イレブンの保険販売の事例(自宅で登録・店頭で契約)、ネットスーパー専用のダークストア等、リアル店舗は消費者購買動線の一部になる形がより鮮明になる。従来の販売方式に捉われず、消費者の購買動線全体の中でリアル店舗を含めた全体設計が必要となる。
② 「新しい生活様式」に対応した店づくり
従来店舗における什器設備・消耗品の見直し、買い回り動線、オペレーション動線の見直しと並行して、新規出店時はレイアウトやオペレーションを「新しい生活様式」に合わせた店づくりが必要となる。例えば、意識せずともソーシャルディスタンスを確保できる動線や、レジ周りの飛沫感染対応が最初から織り込まれた設計にすべきだ。そのためには現在の店舗状況を可視化し、課題を洗い出すことが急務となる。
③ 有事でも縮退運転とならない本部業務の確立
現在の場当たり的なテレワークでは、通常の7割程度の縮退運転となっている企業が多く、出社を余儀なくされているのが現状だ。徹底的な業務効率化とデジタルシフトにより人海戦術・紙の文化から脱却し、有事発生時でも店舗現場を支援できるスーパーバイザー、本部業務の作りこみが必要だ。
④ 取引先も巻き込んだ事業継続計画の再検討
ライフラインとして事業継続を求められる小売業は、商品を納入する取引先が唯一無二のパートナーと言える。有事の際にそのパートナーと密に連携し、必要な消費者に必要な分の商品を届けるという役割を全うしなければならない。今回のCOVID-19によって発生した事象をサプライチェーンにおけるモノと情報の流れの観点で分析し、次に備えることをのど元の熱さを忘れないうちに行わなければならない。