サステナビリティ経営の文脈で、SDGs、ESG、CSRといった用語が出てくることがある。
近年メディアなどでも毎日のように取り上げられている用語の一つが「SDGs」である。SDGsは「Sustainable Development Goals」の略であり、2030年までにサステナビリティの3要素を統合的に解決しながら、持続可能なより良い未来を築くことを目標としている。
SDGsはサステナビリティと近い意味を持つ用語であるが、2030年までに実現すべき事項が国連によって17の目標にまとめられていることが特徴だ。SDGsは対象とする範囲が広く、網羅的に社会課題を捉えているため、SDGsをそのままの形で個々の企業の指針に落とし込むことは難しいだろう。あくまで、サステナビリティ経営について考える際のフレームワークとして活用するのが良いと考える。
「ESG」は持続可能な社会の3要素である環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字をとった造語である。ESGにおいては「環境」と「社会」の要素はサステナビリティと共通するが、「ガバナンス」の要素が含まれることが大きな違いだ。ESGに配慮した経営を行う企業に投資を行う「ESG投資」という言葉があるように、対株主の文脈で語られることも多い。
「CSR」とは企業が持つ社会的責任を意味する。CSRには社会貢献という意味が含まれ、企業経営において環境や社会への配慮と経済的リターンを両立させるというサステナビリティ経営の考え方に対して、各企業が環境や社会への配慮として自主的に行う活動という側面が強い。サステナビリティ経営が一般的になるまでは、一部の先進的な企業や大企業がCSRとして環境保護などの活動を行っていた。また混同されやすいもので、「CSV」という概念が存在する。これは社会的価値と経済的価値の両方に目を向けた考え方で、CSRの目的が企業としての社会責任を果たすことであるのに対し、CSVは事業を通じた社会問題の解決によって社会的価値と経済的価値の双方を創造することを指している。
これらを踏まえてサステナビリティの全体像をまとめたものが、図2である。
サステナビリティ経営を実現するためには、従来の経営課題以外にも多様なステークホルダーが持つ社会課題を解決するための知見や取り組み姿勢を持たなければならない。