マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策(以下、AML/CFT)を含む金融犯罪対策全般に注力する金融機関においては、金融庁が策定した「AML/CFTガイドライン」※1が求める「データ管理(データガバナンス)」態勢構築への対応の方針に概ね目途をつけ、「モデル・リスク管理(モデル・リスクガバナンス)」にその重心を移しつつある。
AML/CFTガイドラインにおけるデータ管理(データガバナンス)の規定の中には、モデル・リスク管理(モデル・リスクガバナンス)に関する明確な記述はない。しかしながら、実際にデータガバナンスの態勢を構築し始めると、「モデルに流し込むデータ」のガバナンスと車の両輪の関係にある「モデル自体のリスク」のガバナンスも並行して検討しなければ、実効性ある態勢を構築し、ガバナンスを実現することは困難であることが分かる。
モデル・リスクガバナンスに関するわが国の規制文書には「モデル・リスク管理原則」※2があるが※3、データガバナンスとの関係において未整理の部分があるほか、AML/CFTを念頭に置いていないため、適用に際しては事前に整理しておくべき課題も多い。
そこで本インサイトでは、AML/CFTの実務経験豊富な筆者※4が、主にモデル・オーナーとしてモデルを所管、又はモデルの開発・使用に責任を負う第1線が実施すべき内容を中心に、重要な論点になり得、且つ、事前に整理しておくべき「態勢」「管理内容」「適正手続」の三点について、AML/CFTの領域への適用について考察する※5。