PROJECT DETAILSプロジェクト詳細

東京海上日動火災保険株式会社

東京海上日動火災保険株式会社

人工衛星画像とAIを活用した水災検知により社会課題の解決に貢献

アビームコンサルティングは、”保険の枠を超えて”社会インフラとしてお客様や地域社会をお守りする東京海上日動火災保険とともに、自社保有の人工衛星を使った柔軟な画像撮影と解析技術に強みを持つICEYE社を活用し、水災発生時に迅速な保険金の支払いに繋げる取組みを行っている。この取組みにより、大規模な水災では、これまで保険金をお支払いするまでに2~3週間程度要していたところから、大幅な期間短縮が可能となる見込みである。保険金の迅速な支払いに向けた人工衛星画像とAIの活用は業界初の試みであり、東京海上日動火災保険とアビームコンサルティングでの共同特許を取得している。また、解析結果をボランティアや各地域の自治体等と共有することで、より迅速な復旧に繋げる共同研究も開始し、保険の枠を超えた被災者支援の取組みを加速させている。

導入前の課題
被害に遭われたお客様への迅速な保険金支払いの実現
水災の大規模化・多発化に伴う損害査定業務の効率化
アプローチ
人工衛星画像とAIを活用した被災状況の迅速な解析
損害査定業務プロセスにおける適時・適切なデータ提供
導入後の期待効果
水災被害に遭われたお客様に対する保険金支払の迅速化
水災被災状況の迅速な把握に基づく損害査定業務の効率化
プロジェクトの背景
近年の自然災害の大規模化や多発化を受け、被害に遭われた多くのお客様へいち早く保険金をお支払いし、安心をお届けすることが、保険会社により一層求められている。
従来の保険金の支払いフローでは、損害状況について、多くの場合、社員を現地に派遣しての立会調査を行う必要があるため、平均で2~3週間、場合によっては1ヶ月~2ヶ月かかってしまうケースもあった。
特に、台風や豪雨による水災被害はこの数年間で増加しており、水災発生時の迅速な保険金支払いを実現するためには、抜本的な業務改革が必要と考えていた。
解決方針/アプローチ方法
自社保有の人工衛星を使った柔軟な画像撮影と解析技術に強みを持つICEYE社をはじめ、複数の人工衛星関連企業と協業し、水災発生時の迅速な被害状況把握に関する実証実験を実施。
まず、過去の災害時における保険金支払データと人工衛星画像を使い、被災状況を推定する基本モデルの構築を行った上で、順次、地形に関するデータやSNS等の追加活用を進め、精度の向上に取り組んでいる。
なお、アビームは、上記アプローチの設計・推進と損害査定業務プロセスへの組み込みおよび効果検証を主に支援しており、東京海上日動火災保険とともに共同特許を取得している。
結果/効果
期待効果①:水災被害に遭われたお客様に対する保険金支払の迅速化
人工衛星画像とAIを活用した解析により水災による被害が確認できた契約物件に対して、これまで保険金をお支払いするまでに2~3週間程度要していたところから、大幅な期間短縮が可能となる見込みである。

期待効果②:水災被災状況の迅速な把握に基づく損害査定業務の効率化
水災発生後数日のうちに被災した範囲や浸水高を特定することで、水災発生現場で必要となる損害サービス体制規模の早期決定・被災した可能性が高い保険契約者に対する保険金請求が可能である旨の案内発信・社員を派遣しての立会調査の省略等が可能となり、大幅な効率化が期待できる。
今後の展望
災害に遭われた方が1日でも早く生活再建に向かえるよう、より早期に保険金をお支払いできるようにすべく、解析精度の向上・解析可能な災害範囲の拡大に、継続して取り組んでいる。
また、本取組みによる解析結果を、保険金の支払に活用するのみならず、ボランティアや各地域の自治体等と共有し、各々の活動に活かしていくことで、より迅速な復旧に繋げていく取組みの共同研究も開始し、保険の枠を超えた被災者支援の取組みを加速させている。
アビームは、 IoTやAIなど先端テクノロジーや課題解決のノウハウ・ネットワークを活用し、本取組みをはじめ、災害に強い社会を作るための取組みを今後も推進していく。
プロジェクト体制
プロジェクト体制の図