フェーズ1では、KPIの見える化と人財情報の見える化という2つの見える化を実現することを目標に据え た。THK共通人財マネジメントシステムは本社を含む日本6法人、アジア14法人、欧州7法人、米州7法人 の13,000名の従業員の人財情報を一元管理。職務情報や業務連絡先情報など60以上のグループ共通項 目の定義により、多様な人財情報を管理するとともに、職務分類や事業軸など30以上のグループ共通コードの定義により、人財検索、人財発掘の基盤を確立することを目指した。
プロジェクトの最大の課題は、7カ月という短期間でのグローバルでのビッグバン導入の遂行だった。要 件定義にかける期間は2カ月強しかなく、ほとんど即断に近い形で要件を決める必要があった。その上で、システムの設計、導入過程でも課題管理や進捗管理も高い精度で行い、計画通りにプロジェクトを進めることが求められた。
「欧州を中心に個人情報保護に対する規制が強まっていて、経営的にも重要な問題になりつつあります。 そこで、EU域内18カ所に拠点を持つ欧州法人とは、個人情報保護について、法務部門や社外の弁護士 の助言を受けながら、EU指令に基づいた合意書を作成・締結しました。他の法人ともその国の法規制に 基づいて合意書を取り交わしましたが、国ごとに法規制は異なるため各国の合意書の作成に時間がかかりました」(星野氏)。
また各法人の人事担当のITリテラシーに差がある中、システムの操作にある程度の習熟も必要なため、 覚えてもらうのに繰り返しトレーニングを行った。「特に時差のある拠点とはどうしてもメールベースのやり取りになるので、コミュニケーションが難しいという問題がありました。そのため早朝や深夜にテレビ会議を 使いながら、打ち合わせをするわけですが、お互い英語が母国語とは限りません。時間の壁と言葉の壁を 越えて、システムを理解してもらうのが一番大変でした」(佐藤氏)。