半年にわたって経営陣とアビームが連携した取り組みを通して、目標とする生産性30%向上に向けて先頭に立って取り組む社員が出てきている。考え方と行動を大きく転換した1人が九州の大規模工場で施設管理業務を担当していた中堅の社員である。「その社員は自分でエネルギー最適化などに取り組み、Excelのマクロを作ったりしていたのです。その力と経験を会社全体で生かせないかと考え、東京に異動してもらい、生産性向上を目指すうちに、新しいアイデアがいろいろと生まれてきました」(橋谷氏)。
もう1人、60歳を迎え退職を考えていた社員にあと5年、社員の先頭で仕事をしようと説得し、次のビジネスモデルを考える新たな領域を担当させた。その経験豊富な社員が先頭に立って、施設管理の現場や協力会社の話を聞いた結果、20ほどのアイデアが出された。そのアイデアに対し、橋谷社長やアビームのコンサルタントが他の業界での動きをアドバイスすることで、100以上のアイデアが生み出され、新たな領域でのビジネスモデル検討の大きな力になった。
こうした取り組みを通して、施設管理事業の生産性30%向上の取り組みは、現場で着実に進み始めており、目標の達成が見え始めている。また、施設管理業務での成果が出始めたことから、NECファシリティーズでは事業のもう1つの柱である建設事業においても変革プロジェクトを開始した。プロジェクトは施設管理業務の施策やテンプレートを応用できるため、スピーディーな実行・展開が実現できると見込んでいる。
これまでの一連の取り組みに加え、NECファシリティーズではアビームの支援を受けながら、「り・ふぁしDXプロジェクト」で打ち出している2026年から30年までの次期中期経営計画に向けた新しいコーポレートモデルや事業モデルを構想するプロジェクトに取り組んでいる。同社では、新しいコーポレートモデルを実現し、企業価値を向上させることを通して、施設管理業界全体の再編を進めることで、日本の製造業の競争力向上を支えていく考えだ。