愛三工業株式会社

事業ポートフォリオ変革の推進に向けた、対話の促進と自律的なキャリア形成による社員エンゲージメントの向上支援
事例
  • 自動車
  • 人的資本経営

可視化した社員の「気持ち」を動かす、ブランディング手法も取り入れたカルチャー変革によって、エンプロイヤーブランディングや人的資本経営の実現に貢献

経営/事業上の課題

  • 事業ポートフォリオ変革の推進に必要な挑戦文化の醸成を阻害する、「ぶら下がり」の空気の蔓延
  • 「ぶら下がり」の一要因となっていた上意下達の文化による、社員と経営間の双方向対話の不在
  • 「ぶら下がり」の一要因となっていた会社へのキャリア形成依存による、社員自身のキャリア開発目標の不在

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 「ぶら下がり」の空気の蔓延をエンゲージメント調査の実施・分析により客観的な数値で見える化し証明
  • ブランディングの手法も取り入れた社員と経営間の対話の場「愛三カタリバ」の全社展開
  • ブランディングの手法も取り入れた社員のキャリア自律を促す「愛三キャリアキャンバス」の全社展開

支援の成果

  • 社員のエンゲージメントの大幅な向上 - 特に「経営層への信頼」に関する肯定回答スコアが1年間で10ポイント以上上昇
  • 社員と経営層のコミュニケーションの変容 - 経営層が意見を求める、褒めるなど日常業務で社員の声を聞くようになり、社員も自身の意見を発信するように社内の空気が変化
  • 社員によるキャリア開発目標に関する解像度の向上 - 社員が自身のキャリアにおける大切な価値観に気付き、それを足掛かりに目標を自律的かつ具体的に考えられる人材の増加

クライアント課題の難所

「どうせ会社は変わらない」という「改善への諦め」を、いかに「変化への期待」に変えるのか

愛三工業株式会社(以下、愛三工業)では、既存のパワートレイン製品事業から、電動化システム製品やクリーンエネルギー技術活用などの新しい事業に事業ポートフォリオを変革している最中である。しかし、エンゲージメントサーベイを初めて実施した2022年の結果からは、社員のエンゲージメントが低い一方で、継続勤務意向は高いという、いわゆる「ぶら下がり」の空気が社内に蔓延している現状が明らかになった。事業ポートフォリオ変革を推進するためには、その推進に必要な挑戦や変化に対する意欲を阻害する「ぶら下がり」の空気の打破が急務であった。加えて、「会社に前向きな変化が起こる」と考えている社員が非常に少ないことが調査から分かり、「改善への諦め」をいかに「変化への期待」に変えるのかという課題を抱えていた。
そこで、エンゲージメントの調査・分析のみならず、エンプロイヤーブランディングの確立に向けた戦略策定・企画立案・実行の豊富な実績があるという理由から、アビームコンサルティングをパートナーに選定し、2022年からエンゲージメント向上に向けた取り組みに着手した。

愛三工業の事業ポートフォリオ変革の方向性と初回のエンゲージメント調査から明らかになった示唆

プロジェクトの重要成功要因

「仕組み」のみならず社員の「気持ち」にも焦点をあてた本気の「働きがい改革」の推進

【社員が理解・記憶・共感できる改革のコンセプトの設定】

アビームコンサルティングをパートナーに、「ぶら下がり」の空気を打破するための「働きがい改革」が開始された。検討の最初に、愛三工業が社員と⼀緒につくりあげる「働きがいのある職場」のコンセプトを定め、活動の軸とした。コンセプトは「①どんな小さなあなたの声も、会社を変える原動力に」「②キャリアを描く、あなたの色で」「③寝る前に、幸せを感じられる毎日を」という3つに設定された。このコンセプトの設定にあたっては、アビームコンサルティングがエンゲーメントサーベイの結果分析のみならず、人材獲得上の競合との比較分析を通して、「働く場」としての差別化されたポジショニングを会社として合意できるよう議論をリードした。また、社員が理解・記憶・共感できるようにキービジュアル・キャッチコピー化・動画化して伝えるクリエイティブ作成支援もアビームコンサルティングが中心となって行った。

【経営層が本気で社員の本音の想いを聴き、対話する「愛三カタリバ」】

「どうせ会社は変わらない」という諦めの空気を、「みんなで会社を変えていける」という前向きな期待に変えることをコンセプトとしており、対話というシンプルな企画の中に、経営の覚悟を伝える様々なコミュニケーションや社員の想いを言語化するための工夫を凝らした。アビームコンサルティングでは、対話が独演会のような一方通行にならず、一方で事情聴取のような上滑りしたものにならないよう、幅広い企業の社内コミュニケーション施策事例をもとにした企画の具体化や、対話のホストとなる経営層に対する「聴く」ためのトレーニングを支援した。結果、半年で160回以上、1600人以上が参加し、7割の社員が「あなたにとって働きがいのある職場になるために愛三は変わろうとしている」という問いに肯定的な回答をした。

【愛三工業株式会社 働きがい改革プロジェクト】~社員と経営層との対話会「愛三カタリバ」を紹介します~(愛三工業株式会社 採用公式チャンネル)

【自律的に目標を描くことで挑戦につなげる「愛三キャリアキャンバス」】

「夢を描き、挑戦し続けられるキャリア」を実現できるための改革も並行して企画し、展開している。サーベイやインタビューからキャリア開発支援が不足していることもあげられたが、それ以前に社員一人ひとりの「キャリア開発」の道筋となる「キャリア目標」がないこと、または解像度が粗いことが課題だと分かってきた。そのため、新たなキャリアプログラムのコンセプトは「キャリア目標」の解像度を高めることに振り切った内容にしている。社員一人ひとりが心から達成したいと思える、ワクワクする「キャリア目標」を高解像度で描く支援をプログラム化して行っている。アビームコンサルティングでは、キャリア論とゲーミフィケーションの最先端の理論を駆使して、楽しみながら「キャリア目標」を考え、日々意識して行動できるよう企画を支援している。例えば、愛三工業の社員へのインタビューをインプットに、キャリアトランプというカードゲームを作り、社員一人ひとりが楽しみながらキャリア上大切にしたい価値観の解像度をあげることができる仕掛けなどをプログラムに組み込んでいる。

愛三工業が社員と一緒につくりあげる「働きがいのある職場」のコンセプト
「愛三カタリバ」に向けた経営層の本気をつたえるコミュニケーションと社員の本音を引き出す新しい手法
自律的にキャリア目標を描く支援を多角的に行う「愛三キャリアキャンバス」

アビームの貢献

社員のエンゲージメントを高めるためのワンストップの支援

アビームコンサルティングは、社員のエンゲージメントを見える化するのみならず、その分析からの重要課題の抽出、活動の軸とするべき戦略の立案、その戦略を実現するための「仕組み」「気持ち」両面からの施策立案と実行、効果測定を通した改善サイクルの構築まで一貫して支援した。
その結果、社員のエンゲージメントが大幅に向上し、 特に「経営層への信頼」に関する肯定回答スコアが1年間で10ポイント以上上昇した。
アビームコンサルティングは、引き続き愛三工業のパートナーとして、「働きがいのある職場」の三つのコンセプトと関連する活動を社外にも発信することを通して、採用市場や投資家に人的資本経営に取り組む企業としてのブランディング確立への貢献を目指している。


愛三工業経営陣の総意である「本気の風土改革」の一環としての働きがい改革に正面から真剣に全力で支援していただき、感謝の気持ちで一杯です。
今後も改革を進めていきますので、ご支援のほどよろしくお願いします。

愛三工業
取締役副社長 副社長執行役員
加藤 茂和氏

弊社の働きがい改革に対し、御社の感受性の高い支援により、我々だけでは思いつかないような斬新で、かつ実現可能性の高い施策を一緒に創出することができました。
今後のさらなる共創にワクワクしています。

愛三工業
人財基盤本部人事部 部長
鈴木 祐生氏

Customer Profile

会社名
愛三工業株式会社
所在地
愛知県大府市共和町一丁目1番地の1
設立
1938年(昭和13年)12月
事業内容
自動車部品の製造・販売
資本金
108億38百万円

2024年8月8日

専門コンサルタント

  • 佐藤 一樹

    Director

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