グループで国内生命保険事業を担うSOMPOひまわり生命保険株式会社。同社はデジタル・データによる成長加速に向け、データサイエンススキル・ノウハウ蓄積の仕組み構築に取り組んだ。短期間で取り組んだ成果として、2022年4月からスキル・ノウハウの蓄積を始動できる環境が整った。今後はデータサイエンススキル・ノウハウ蓄積を通して、より高品質な生命保険商品と多様な顧客接点を創出していく考えだ。
グループで国内生命保険事業を担うSOMPOひまわり生命保険株式会社。同社はデジタル・データによる成長加速に向け、データサイエンススキル・ノウハウ蓄積の仕組み構築に取り組んだ。短期間で取り組んだ成果として、2022年4月からスキル・ノウハウの蓄積を始動できる環境が整った。今後はデータサイエンススキル・ノウハウ蓄積を通して、より高品質な生命保険商品と多様な顧客接点を創出していく考えだ。
経営/事業上の課題
課題解決に向けたアビームの支援概要
支援の成果
SOMPOひまわり生命保険株式会社(以下、ひまわり生命)は2011年、損保ジャパンひまわり生命と日本興亜生命が合併して誕生した生命保険会社である。同社は「お客さまの視点ですべての価値判断を行い、保険を基盤としてさらに幅広い事業活動を通じ、お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービスをご提供し、社会に貢献」するというSOMPOグループの経営理念の下、「健康応援企業」への確立に向けた取り組みを進めている。健康応援企業とは、生命保険の伝統的な役割である「万が一」への備え(Insurance)と、毎日の健康も応援する機能(Healthcare)を組み合わせた、従来にない新たな価値「Insurhealth(インシュアヘルス)」を顧客に提供し、豊かな人生や夢の実現をサポートする存在だ。
健康応援企業の確立に向けて、ひまわり生命では中期経営計画の柱の1つとして、デジタル・データによる成長加速の推進を掲げている。そして、人・スキル・ノウハウを集約し、組織横断的な展開・推進を通じてビジネス拡大に貢献する中核的存在をCoE(Center of Excellence)と位置づけ、CX推進部でそのためのデータサイエンススキル・ノウハウの蓄積に取り組んできた。しかし、データサイエンティストとしての活動を体系的にノウハウとして定着させていく仕組み構築の必要性はあらためて強く感じていた。
加えて、DXの推進には、基幹系システムの老朽化やIT人材不足が課題となっている「2025年の崖」問題と同様に、外部への依存ではなく、少なくともDXを企画推進できる社員のスキル醸成と機能の内製化が必要であった。「今までもノウハウを属人化させない仕組みづくりには何回かチャレンジしてきました。
ところが、人事異動などの影響で、一時的に蓄積されても組織に定着させるまでには至りませんでした。加えて、当社は、代理店販売を中心とした間接営業のビジネスモデルということもあり、お客さまに直接相対する顧客分析・洞察・コンシューマーマーケティングの経験が少ないことから、そのための分析・仮説立案の知見の蓄積が課題でした。ただし、いきなり高いレベルではなく、地に足の着いた着実なスキル醸成が必要だと感じていました」とSOMPOひまわり生命保険株式会社 CIO 取締役 常務執行役員 中原 徹氏は説明する。
そこで、ひまわり生命は新年度開始の2022年4月に仕組みを稼働させるべく、外部の協力を視野にデータサイエンススキル・ノウハウ蓄積(CoE化)の仕組みの短期間での構築を目指した。
ひまわり生命では検討した結果、パートナーとしてアビームコンサルティングを選んだ。アビームを選んだ理由は、提案内容が業務の実態に深く入り込んでいた上に、多数存在するスキル・ノウハウ蓄積の仕組み・材料の候補に濃淡をつけて、2カ月間で完了できる必要最小限の仕組みに絞り込まれていたことだった。具体的には、現状把握からビジョンの導出、組織階層と役割、必要スキル、モデル育成、研修コンテンツ、ナレッジデータベース、マネジメントルールを定義する提案だった。「アビームのAIセクターでは、約100人のメンバーがABeam AIフレームワークと人材育成モデルの知見を有し、年間100以上のデータドリブン・トランスフォーメーションを支援していると聞きました。これまでの他プロジェクトにおける信頼関係も踏まえて、信頼できる実績だと感じましたし、地に足の着いた提案で、当社社員の目線に立ち、当社課題意識に向き合った具体的な検討ができそうだと感じました。私たちが望んでいる仕組み設計を短納期で実現するための現実的な提案だったということも大きいですね」とプロジェクトをリードするメンバーが評価した点が決め手だったと中原氏は語る。
こうしてCX推進部のデータサイエンススキル・ノウハウ蓄積(CoE化)の仕組み設計プロジェクトがスタートした。プロジェクトでは業務整理から着手し、スキルセットをベースに、モデル育成、トレーニングコンテンツ、ナレッジデータベース構築につなげ、体制整備を経て、運用開始につなげていった。プロジェクトはアビームがABeam AI人材育成コンサルティングサービスとして3カ月のスケジュールで提供しているものをベースに、2カ月に短縮するための調整をして実施した。
スキル・ノウハウの仕組みを設計するには、業務の中身を深く理解していることが必要だ。アビームのメンバーは保険業界に精通しており、業務理解が深く、知見を有する。そういった知識を持った上で、CX推進部の業務や成果物にまで入り込んで、必要なスキルを分析し、議論を積み重ねていく材料にした。
例えば、保険商品における特約付加に関するアンケートを分析するという業務がある。汎用のフレームワークではPythonなどのコーディングスキルが定義されがちだが、より重要視すべきスキルはアンケート技法の深い理解や社内における関連情報・データの配置に関する理解だ。
プロジェクトは2カ月で完了させなければならないため、ハイスピードで推進された。「期限を定めてゴールに到達するプロジェクト型の取り組みに、今回携わりました。アビームのコンサルタントのリードにより、自分たちだけではできなかった仕組みづくりを2カ月間集中して取り組むことでつくり上げることができた経験は、今後の仕事でも役立つ貴重なものだったと思います」とプロジェクトに取り組んだ担当者は振り返る。
2022年4月からデータサイエンススキル・ノウハウ蓄積の仕組みが運用開始された。ひまわり生命では、今回のプロジェクトでは現時点でベストな仕組みが出来上がったと評価している。この仕組みを使いこなしていくことで、CoE化を成熟させていくつもりだ。スキル・ノウハウが資産であり、会社の競争力の源泉であることを全社で共有していくとともに、CX推進部の業務の新たな価値創出に貢献し、競争力の源泉として認知されることを目指す。「アビームと密度の高い議論を積み重ねたことで、深く考え抜いた仕組みをつくることができていると感じています。データ活用のプロ集団である組織として、分析経験を積み上げていき、幅広くかつ深くデータを読み解くことで、課題に対応していくことができるようにしていきます。今回の経験を背景に、CX推進部のメンバーが専門性を発揮し、実務の現場に貢献する役割を果たしていくことを目指します」と、SOMPOひまわり生命保険株式会社 執行役員 CX推進部長 深堀圭氏は意欲を語る。
こうした取り組みを通して、ひまわり生命ではより高品質な保険商品と様々なチャネルでの顧客接点を生み出していき、顧客満足度を高めていく考えだ。
Customer Profile
2022年8月1日
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