マーケットの実需を起点とした製販在一体となったSCM。その実現のためにはこれまで個別に行われていたSCM業務をディストリビュータまで含めて統合・連携させる必要があった。しかしながら、単なるオペレーション変更にとどまらず、商売の要である「仕入れる」と「売る」、ここに対する意識をクライアントとディストリビュータの双方で変えなければならない難しい取り組みであり、これまで実現できずにいた。そこでバックオフィス業務改革や営業支援アプリ開発でクライアントの変革を支援してきたアビームコンサルティングが相談を受け、2022年から支援を行った。
これまで各ディストリビュータ独自の基準で管理されていた在庫に共通の在庫基準を適用、その基準に従って在庫を供給することでサプライチェーン全体をスムーズに歪みなく連動させ、マーケットの実需に応じた生産を可能にする。そのためにクライアントサイドでは、ディストリビュータに売って終わりではなく、自社の売上を達成するためにディストリビュータ売上の最大化に注力するという意識改革が必要であった。ディストリビュータサイドでは、これまで自らの基準で管理していた在庫を他者が設定した共通の基準で管理される、この点への抵抗感を払拭し、共通在庫基準への信頼を得ることが重要であった。在庫基準とは在庫高と欠品リスクのバランスをどう取るかのポリシーであり、在庫高が減るディストリビュータもあれば増えるディストリビュータもある中で、コンセンサスをいかに作っていくかがプロジェクトの重要なポイントであった。