リプラン後の1年間はそれ以前と比べスムーズな関係の中でプロジェクトを進められ、2018年4月に研究支援・財務システムを本稼働させることができた。「従来のシステム開発ではまずは稼働させた上で不具合を修正していくというやり方をとっていたので、カットオーバー時は問い合わせの電話が鳴り続けることもありました。今回はそれがまったくない状態でカットオーバーを迎えることができました」(足立氏)。
新しい研究支援システムと財務システムが稼働したことで一番大きいのは研究費関連のデータがすべて蓄積できるようになったことだ。これによって、研究課題ごとの適切な残高管理とリアルタイムの予算執行状況確認ができるようになった。そして事業を管理していくための分析が可能になり、それを管理会計で活用して行く基盤ができあがった。「データを一元化して溜めることで、それを応用して、外部資金の獲得に教職員が活用して行けるようにしたいと考えています」(中川氏)。
今までは予算が先にあり、その予算の範囲内で事業計画をたてるという構造になっていた。それに対して、新システムでは蓄積されたデータから年間の事業別収支内訳を細かく分析することができ、事業計画と予算を合わせた取り組みが可能となる。従来のような前年踏襲型の予算ではなく、実態に合わせた予算編成が可能になり、2019年度からは事業計画一体型予算の実現に向けた取り組みを始められる。それを踏まえて、早稲田大学では事業ごとの収支を評価していくことを通して、新たな分野への資金投入を検討するとともに、データの分析から研究資金の獲得に向けた計画を立てていく考えだ。