旅費・経費精算システムは2021年4月に計画通り稼働を開始した。2023年4月の稼働を目指している請求書支払業務改革プロジェクトは、システム開発をほぼ完了し、現在、操作の習熟などユーザートレーニングに向けた取り組みを進めているところだ。「グループ企業54社2万人が利用する旅費・経費精算システムを一気に導入できたのは大きな成果です。電子帳簿保存法対応を達成し、紙の証憑を廃止、電子帳票での保存を実現しました。営業担当はオフィスに戻らなくても精算ができ、承認者はモバイル端末での承認が可能になったため、働き方改革にもつながっています」(吹田氏)。
加えて、法人カードや交通系ICカードのデータ連携によるペーパーレス精算が実現し、SAP Concurのチェック機能の活用によって、不正防止やコンプライアンスレベルが大きく向上した。「今までは事業会社の経理部門がそれぞれ旅費・経費のモニタリングや監査対応などを行っていました。SAP Concurを導入したことで、チェックのロジックを統一させ、最後に出てくるデータを持株会社の経理が確認すればよくなったので、経理部門の業務負荷も大きく軽減されました」(土居ノ内氏)。
一方、請求書支払システムはAI-OCRで請求書読み取りを自動化することで手間とミスを削減した上で、Concur Invoiceを利用する。これにより、紙を廃止して電子帳票保存を実現する。
2つのシステムが運用されることで、すべての帳票がSAP Concurに蓄積されることになり、旭化成では監査対応の調査をはじめとして、データの利活用を進め、DXを加速していく考えだ。