ABeam DX Insight 第4回

DXビジョン、シナリオ策定
~次世代リーダー育成という観点~


菅田 一基

戦略ビジネスユニット
執行役員 プリンシパル

 

DXビジョン、シナリオ策定における過程では、将来の経営を担ううえで必要な能力開発のきっかけとなる経験をすることができる。

DXビジョン、シナリオは5~10年先を見据えて検討されるが、具体化された施策を実行していくのは次世代のリーダー達となる。DXビジョン、シナリオを検討していく過程で、将来自らが実行する責任を持つこととなる具体策を討議することによって、次世代リーダーとしての自覚を促す効果も想定される。

具体的な事例を取り上げる前に、まず当社が提唱するDXビジョン策定のアプローチについて紹介する。

図1 DXビジョン策定のポイント

図1 DXビジョン策定のポイント

① 未来定義
デジタルがもたらす社会変化を想定し、将来の事業環境(世界観)を描いていく。現状の延長線ではなく未来起点で目指すべき姿を構想する。

② 未来の価値・事業構造
将来の事業環境において、デジタルを活用して実現したい価値・事業構造を描いていく。どんな価値を(What)、誰に(Who)、どういう手段で(How)提供するかを明らかにする。

③ DXシナリオ
デジタルを活用した新たな価値・事業構造を確立するためのシナリオを具現化する。未来起点で考えるバックキャスティングによってシナリオを導出する。

上記のアプローチは、経営課題を導出する際のフレームワークとして活用している経営デザインシートと同じ考え方である。DXビジョン、シナリオはデジタルの世界での特別な課題というわけではなく、もはや経営課題として位置づけられるものなのだ。

図2 経営デザインシート

図2 経営デザインシート

当社では、次世代リーダー育成の狙いを意識したアプローチでも多くの実績を有している。

その一例として、ビジネスのありたい姿を、①役員グループ②次期リーダー候補③若手メンバーの3グループで討議後、各グループ案を持ち寄り、全体討議で意見をすり合わせ、将来のビジネスモデル、組織構造(機能設計)を整理するというアプローチを設計した。このようなアプローチを採用することで、将来を担う次世代リーダーや現場メンバーの巻き込みと腹落ち感の醸成が可能となった。

図3 次世代リーダー育成を意識したアプローチ事例

図3 次世代リーダー育成を意識したアプローチ事例

これは、次世代リーダー自らが、将来を構想しその道筋を具体化するという経営の基本動作を学ぶ機会としても重要な取り組みである。こうした人材育成の観点はDXビジョン、シナリオ策定を検討される際にぜひ考慮に入れていただきたい。

大企業版経営デザインシート

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