「企業内の人材ミスマッチ実態調査」 ~人的資本経営を進化させる新たな人材マネジメントモデル~

調査・ホワイトペーパー
2025.11.07
  • 経営戦略/経営改革
  • 人的資本経営
  • 人材/組織マネジメント

アビームコンサルティングは、人材マネジメントの最適化に向けた新たな方向性を導出することを目的に、「企業内の人材ミスマッチ実態調査」を実施しました。本調査は、国内企業の人事・経営企画部門に所属し、組織としての意思決定権を有する​管理職500人を対象としています。

近年、日本企業では「人材不足」が深刻な社会課題として取り上げられ、多くの企業が人材確保の難しさに直面しています。一方で、実際には人材リソースが十分に活用されていない部署や職種が存在するケースも散見されます。つまり、同一企業内で「人材不足」と「人材過剰」が併存する構造的なアンバランスが生じていると考えられます。

その背景には、DXやAIの導入など、技術革新による業務プロセスの急速な変化が挙げられます。求められる職務やスキルのあり方が変化する中、企業内の人材マネジメントの変革が追いついておらず、ジョブ型人事制度やスキル可視化などを導入しても適材適所が十分に実現できていない可能性があります。

本調査では、人材の「量(需給)」「質(能力・スキル)」「報酬(処遇)」という3つの視点で発生しているミスマッチの実態や要因、ミスマッチが及ぼす経営や人的資本投資への影響を分析するとともに、人的資本経営の進化に向けた新たな人材マネジメントモデルを提唱します。

調査結果の概要

目次

  1. 本調査の背景と目的​
  2. エグゼクティブサマリ​
  3. 調査概要​
  4. ​調査結果から見えた3つのミスマッチ​
  5. 真の人的資本経営を実現に導くポイント
  6. 問い合わせ先

■調査結果の全文は下記をご覧ください。

調査結果(一部抜粋)

調査結果から見えた3つのミスマッチ:量のミスマッチ

人材の量の観点では、89.8%の企業が「人材不足」であると回答。また、63.6%の企業で「人材過剰」が生じている。年齢別では、人材不足は30代が最も多く、次いで40代。人材過剰は50代が最も多く、40代でも発生している

61.0%の企業で「人材不足」「人材過剰」が同時発生している現状が明らかになった。いずれも発生していない企業は、わずか4.7%にとどまった。

調査結果から見えた3つのミスマッチ:質のミスマッチ

人材の質の観点では、企業の88.2%で「職務要件未達の人材(アンダースペック人材)」、79.8%で「職務要件以上の人材(オーバースペック人材)」が配置されている。年齢別では、職務要件未達の人材は40代・50代で多く、職務要件以上の人材は30代・40代で顕著に表れている。

調査結果から見えた3つのミスマッチ:報酬のミスマッチ

約80%の企業で、成果と報酬がマッチしない人材が存在していると回答。年齢別では、成果よりも報酬が高い人材(過大報酬人材)は40代・50代の割合が高く、成果に対し報酬が低い人材(過小報酬人材)は40代・30代が高い結果となった。

ミスマッチを防ぐ3つのポイント

多くの日本企業が事業ポートフォリオ変革を求められる中、ミスマッチを解消するには将来を見据えたマッチングの高度化が求められる。ミスマッチ解消には、以下の3点が必要と考える。

①需要と供給のバランスをとり続ける動的マッチング

  • 将来起こる変化も見据えたうえで、「事業に必要となる人材」と「人の成長・挑戦と社内外における価値」を動的にマッチングさせること

➁将来獲得すべき組織能力(事業・人材)の定義

  • 事業(需要)の可視化
    • 事業ポートフォリオ変革の中で、事業が将来獲得すべき組織能力をケイパビリティとして定義
    • 事業(需要)の要件は、「現在の事業」と「将来獲得すべき組織能力(ケイパビリティ)から定義される
  • 将来に向けた人材の挑戦・成長の余白が客観的にわかるように定義

➂人的資本の投資と効果のモニタリング

  • 事業が本来求める要件や労務費に対し、人材がどれだけ充足しているかのギャップをモニタリング

新たな人材マネジメントモデル「ケイパビリティ型人材マネジメント」

アビームコンサルティングが提唱する「ケイパビリティ型人材マネジメント」は、現在だけではなく将来の事業ポートフォリオ変革を見据え、事業が将来獲得すべき組織能力(ケイパビリティ)に主軸を置いた人材戦略を実現するための新たな人材マネジメントモデルである。日本企業の人材流動性の低さを考慮し、事業の方向性と従業員の自律・挑戦を促進する。

ケイパビリティ型人材マネジメントの全体像

ケイパビリティ型人材マネジメントの実現に向けては、「①経営戦略・事業戦略との連動」「➁タレントポートフォリオマネジメント」「➂タレントマーケットづくり」「④労働市場接続」「⑤投資とモニタリング」という5つのプロセスを整備する必要がある。
アビームコンサルティングは、真の人的資本経営の実現に向けて、ケイパビリティ型への転換を支援し、日本企業の人的資本の最大化、企業価値向上に貢献していきたい。

■調査結果の全文は下記をご覧ください。

執筆者情報

  • 久保田 勇輝

    Principal 人的資本経営戦略ユニット長
  • 迎 美鈴

    迎 美鈴

    Senior Manager

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