2023年12月11日
2023年12月11日
アビームコンサルティング株式会社
アビームコンサルティング株式会社(代表取締役社長 山田 貴博、東京都中央区、以下 アビームコンサルティング)は、日本企業のROIC経営と企業変革に向けた取り組みの実態を把握し、企業価値向上の実現との相関を明らかにすることを目的として、年間売上300億円以上の企業の経営企画、経理・財務、IR経験のある部長職以上・役員(721名)を対象に、「進化するROIC経営の実態調査」を2023年10月に実施しました。
また、今回の調査結果を受け、アビームコンサルティングでは企業価値向上を進める施策を「進化するROIC経営導入支援サービス」として再構築し、企業変革の実現を支援します。
■TOPIC
■主な調査結果
1.優良企業は、事業評価の軸にROICと規模成長指標を活用し、適切に事業撤退・売却を実施。加えて、事業ポートフォリオ評価時に無形資産の価値を考慮している
事業撤退経験とPBR(株価純資産倍率)の関係性について、事業仕分けの基準が定まっているとともに事業撤退経験がある企業は、PBR1.3倍以上の企業では28.3%、PBR1.3倍未満の企業では11.3%と、PBRの高低と事業撤退経験に高い相関がみられた(図1)。
また、優良企業においては、事業評価の軸としてROICに加えて、売上高成長率や市場成長率などの規模成長指標を活用している(図2)。加えて、事業ポートフォリオ評価の際に、知財、人財、デジタルなど無形資産の価値を考慮している(図3)。
2.ROIC改善に向けて、優良企業では64.6%の企業が事業別に個別KPIを設定するとともに業績連動で評価を行っているが、改善余地企業(PBR1.3倍未満で事業撤退経験のない企業)では6.4%と10倍近くの割合差
ROIC改善に向けた個別KPI管理の導入状況として、「事業別にROIC改善に有効な個別KPIの特定と適切な目標値設定、個別KPIの責任部署を明確にし、業績連動に至っている」とした優良企業の割合は64.6%に対して、改善余地企業は6.4%と、10倍近くの割合差が出た(図4)。なお、個別KPIの絞り込みの状況として、優良企業では「事業特性を考慮したKPIの絞り込み」が56.5%と半数以上で実施されている(図5)。
3.優良企業ではデータマネジメントの整備・浸透を半数以上が実施。また、データ分析・改善検討等を行うFP&A(管理会計)やBICC(Business Intelligence Competency Center)等の専門組織は、優良企業の約半数(46.4%)で設置が進むが、改善余地企業での設置はわずか5.9%のみ
基盤整備として、優良企業ではデータマネジメントプロセスの整備・浸透を半数以上の企業(52.2%)が十分できていると回答。改善余地企業では16.7%と、35.5ptの差がでた(図6)。
また、ROIC活用の効率化・高度化に向けて、FP&AやBICCといった専門組織を、優良企業では46.4%が十分整備しているが、改善余地企業では5.9%となっており(図7)、ROIC活用を組織構成含めて進めているかで顕著な差が確認できた。
4.成長期待を醸成する要となるのは、事業戦略と連動した人材・知財・デジタルポートフォリオ形成と適切な事業貢献度評価
優良企業では約半数の企業が、事業戦略と人財、知財、デジタル(IT)の無形資産ポートフォリオの連携が十分にできていると回答し、改善余地企業の実施割合をいずれも30pt以上上回った(図8)。
また、人材投資、知財投資、デジタル(IT)投資へのROI評価の実施について、優良企業では十分できているとする割合がいずれも改善余地企業より25pt以上高くなっており(図9)、無形資産の事業への貢献の可視化を進めている。
■アビームコンサルティングが考える企業価値向上を進めるROIC経営実現のポイント
本調査で判明したROIC経営と企業変革の実態と推進における課題を、アビームコンサルティングがこれまで数多くの経営変革によって培ってきた知見・ノウハウから要因解析し、日本企業が企業価値の向上を実現させるためのポイントとして、以下4つを導き出しました。
①規模成長指標や無形資産価値の事業ポートフォリオへの反映
ROICと市場成長率などの規模成長指標を事業ポートフォリオの評価軸にするとともに、知財・人財・デジタルなどの無形資産価値を事業ポートフォリオの評価に加味することで、ROICを活用することで生じやすい緊縮や短期志向といったデメリットを解消した事業ポートフォリオの構築が可能となる。
②事業特性を考慮した個別KPIの設定による現場PDCAが回る仕組みの構築
ROIC改善に効果的な事業特性に応じた個別KPIを設定し、運用することで、現場のPDCAが回る仕組みを構築。また、評価を業績連動させることで、事業部内での浸透が深まる。
③データインフラや専門組織など継続的な基盤整備
事業連結に向けた社内・グループ内の領域横断でのデータ活用の実施には、事業連結カットのROIC算出に必要なデータの統合を可能にするデータシステムやマスタの整備に加えて、データマネジメントプロセスの整備・浸透が不可欠。また、FP&AやBICCといった専門組織を設置・運用し、ROIC活用の効率化・高度化を図るとともに、これらの推進を担う人材育成やコーポレートガバナンスの強化を実施する。
④成長に向けた無形資産投資の強化と適切な事業貢献度評価
経営戦略に基づく人的資本経営の推進や知財・デジタル投資の実施とともに、ステークホルダーに自社の経営戦略や企業活動に関する理解の促進と成長期待を醸成するため、事業戦略に連携した人財、知財、デジタルポートフォリオの構築、無形資産の事業貢献度の評価と開示が一貫して行われる必要がある。
■企業変革の実現を支援する「進化するROIC経営導入支援サービス」
アビームコンサルティングでは、今回の調査によって導き出した実現ポイントを踏まえ、企業価値向上を進める経営の高度化を「進化するROIC経営導入支援サービス」として再構築し、企業変革の実現を支援します。
具体的には、規模成長指標や無形資産価値の評価反映を含めた事業ポートフォリオの最適化、事業別KPIの設定と業績連動評価を進めます。また、その実現のために不可欠な、グループデータマネジメントの実施や、FP&A・BICCといった専門組織の整備、グループガバナンス強化に向けた施策を幅広く支援します。さらには、知財・デジタルポートフォリオの構築や専門のコンサルティングチームによる人的資本経営支援の実施と、当社の「Digital ESGサービス」による非財務情報の可視化や統合報告書・IR等での開示支援といった様々なサービスを企業のニーズに応じて統合的に提供することで、企業の成長のための投資強化の実施と、投資家をはじめとするステークホルダーにおける成長期待の醸成を推進していきます。
進化するROIC経営導入支援サービス
https://www.abeam.com/jp/ja/service_line/strategy_bt/roic_management
本調査結果の全文は、以下リンクよりご確認いただけます。
https://www.abeam.com/jp/ja/topics/insights/roic_management_report
【調査概要】
進化するROIC経営の実態調査
2023年10月6日(金)~10月9日(月)
インターネット調査
売上300億円以上の企業
経営企画、経理/財務、IR経験のある部長職以上・役員
721名
アビームコンサルティング株式会社について
アビームコンサルティングは、アジアを中心とした海外ネットワークを通じ、それぞれの国や地域に即したグローバル・サービスを提供している総合マネジメントコンサルティングファームです。戦略、BPR、IT、組織・人事、アウトソーシングなどの専門知識と、豊富な経験を持つ約 7,800 名のプロフェッショナルを有し、金融、製造、流通、エネルギー、情報通信、パブリックなどの分野を担う企業、組織に対し幅広いコンサルティングサービスを提供しています。アビームコンサルティングは、企業や組織とともに新たな未来を共創し、確かな変革に導く創造的パートナーとして、企業や社会の変革に貢献します。
ホームページ:https://www.abeam.com/jp/
本件に関するお問い合わせ
アビームコンサルティング株式会社
コーポレートコミュニケーションユニット
マネージャー 安間 美央
TEL:080-1055-9915 E-mail:JPABPRTeamDL@abeam.com
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