SOMPOシステムズ株式会社

SOMPOシステムズ株式会社

Customer Profile

会社名 SOMPOシステムズ株式会社
所在地 東京都立川市曙町二丁目41番19号
設立 2016年
事業内容 コンピュータおよび関連機器による情報処理サービスの受託業務
ソフトウェアの開発受託および販売業務 等td>
資本金 70,000,000円

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

ITスキル空洞化を克服する、スキル可視化と新たな人材育成施策を企画・実施

SOMPOグループの戦略的IT企業のSOMPOシステムズ。同社は2013年、アビームコンサルティングをパートナーに選び、社員のITスキルを可視化するプロジェクトを立ち上げた。その後、2014年から2016年までスキルアップの施策を構想・設計し、2018年からは制度化を進めた。その中で新入社員向けの新たな研修プロジェクト「Fast Path」、2020年には社員の自律的キャリア開発を支援する「Open Fast Path」を開始し、ITスキルの空洞化を克服している。

プロジェクト概要

導入前の課題

  • 社員ITスキル空洞化克服にむけたスキルの可視化、
    打ち手となる新たな人材育成施策の設計と制度化の実現

ABeam Solution

  • IT人材のスキル可視化、
    IT人材育成施策の
    検討と制度化の支援

導入後の効果

  • 可視化フェーズでの「Skill Framework」、スキルセット「人材像」の策定
  • 施策化フェーズでの制度設計と制度化フェーズでの「スペシャリティ」認定の実施
  • 新人向け研修プロジェクト「Fast Path」と自律的キャリア開発支援「Open Fast Path」の企画・運用

Story

私たちのため、アビームは本気で考え抜いた上で行動してくれています。SOMPOシステムズにおける人材育成戦略が功を奏しているのも、アビームがパートナーだったからです

 

SOMPOシステムズ 
人材育成部 部長
宮田 寛子 氏

Story

プロジェクトの背景

パートナー会社への依存度が高くなったことを背景に、社員のITスキル空洞化への深刻な危機感から、8年間かけて人材育成施策を推進

 SOMPOシステムズは、2011年に損保ジャパン・システムソリューションとエヌ・ケイ・システムズが合併して誕生したSOMPOグループの戦略的IT企業である。同社はSOMPOホールディングスが展開する、国内損保事業、国内生保事業、介護・ヘルスケア事業、海外保険事業、デジタル事業の5つの分野において、先進のICT・デジタル技術を基軸に、顧客およびSOMPOグループ各社を支援する役割を担っている。

 2013年当時、SOMPOシステムズでは社員が自分のスキルを他人に知られたり、他人にアピールしたりするという仕組みや文化がなく、その結果、会社として社員が持つスキルを把握し、自社の戦略を実現していくために、社員の最適な配置を行うことが困難だった。「2011年に損保ジャパンと日本興亜損保の合併に伴うシステム統合をおこないました。システム統合は完遂できましたが、スキルの不足により非常に苦労しました。それまで長年、協力会社の力を頼って管理業務が多く、実際に手を動かす機会が少なかったことでITスキルが空洞化していたのです。このままの状況は良くないと、まずは社員のスキルを可視化するプロジェクトを立ち上げました」とSOMPOシステムズ 人材育成部 部長 宮田 寛子氏は語る。そして、アビームコンサルティングをパートナーに、社員が持つべきスキルを定義した「Skill Framework」とスキルセット「人材像」を策定した。時を同じくして人材育成にかかわる部署を社長直轄に引き上げた。

 その上で、2014年から2016年まで、社員のスキルと経験を認定し、処遇にも反映させる「スペシャリティ認定」を軸に施策を構想。2018年からはその施策に基づいた制度を運用、人材育成を行っている。「スキルアップは10年単位の長期的な取り組みととらえ、それを前提に可視化、施策化、制度化を進めてきました。8年余りにわたる取り組みの結果、当社の社員は、他人にスキル保有状況を認められることは名誉なことであり、キャリアを自ら築き上げていくことで社内での更なる活躍が可能になる、という考え方に大きく変わってきています」(宮田氏)。

Story

アビームの選定理由

決め手はアビームの人材育成の考え方とリアリティある経験、
完成されたスキルマップと評価基準の内容

 SOMPOシステムズでは2013年のスキル可視化プロジェクトでアビームコンサルティングをパートナーに選んだ。アビームはその後の施策化、制度化と現在まで、パートナーとしてSOMPOシステムズを支援してきている。「最初のSkill Frameworkの定義にあたって、複数の会社から提案を受けました。そこでアビームからの提案にあった、アビーム自身のスキルマップと評価基準を見て、人材を大事にしていることがよく分かり、到達点を明文化していたことを高く評価しました。そこで、私たちもアビームのように明確な評価基準をスキルマップとして構築し、それに基づいて人材の成長を成し遂げていきたいと考えたのです」(宮田氏)。

 Skill Frameworkを社内に定着させていくには、自分たちの言葉で内容が記述されていることが重要になる。特にヒューマンスキルについてはアビームのスキルマップや評価基準は必要な内容が網羅されていた。SOMPOシステムズではそれらを参考に、アビームの支援で自社に必要なITスキルを追加・網羅していくアプローチを取った。半年の活動により、1600人余りの社員のスキルアップと、自らのスキルを自信と誇りをもって公開できるようにするためのSkill Frameworkの原型が完成した。その後現在に至るまで、何度もUpdateを繰り返し、全社員のスキルの可視化は続いている。

 SOMPOシステムズでは、2014年の施策化フェーズでもコンペを実施したが、Skill Frameworkを一緒に定義した経験もあり、再びアビームを選んで育成施策の構想・設計を進めていった。その後、2018年に開始したプロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)手法を応用した新人向けプロジェクト「Fast Path」、そして、2020年にスタートした、獲得した知識を実際に活用して「ものづくり」を試す場を提供し、社員の自律的なキャリア開発を支援する「Open Fast Path」も、アビームをパートナーとして開発・運用している。

Story

人材育成施策推進上の課題と解決策

新人向け「Fast Path」と自律的キャリア開発支援「Open Fast Path」を運用

 従来、新入社員向けの研修は集合研修が中心であったため、正解がある課題に対しそれを導き出せるかどうかを問うという学校教育の延長上から抜け出せずにいた。ところが、社会の変化は激しく、プロジェクトも途中で想定していなかった事態が生じるのが当たり前になっている。それを乗り切っていくには自分で考える以外になく、早い時期から問題に気付いていくつものプランを出し、最善策を選ぶことができる社員に育てていく必要がある。そのためには新人だけでプロジェクトを進めることがベストだと考え、2018年4月、Fast Pathを開始した。「新人研修向けの疑似プロジェクトのカリキュラムではありますが、やはり正解はあります。新人にはゼロから考え、ものづくりをしてほしかったので、人材育成部が抱える課題を与え、新人だけで半年ほどかけて解決するプロジェクトに取り組みました」(宮田氏)。

 プロジェクトはオーナーが出した要件の下で、メンタル、リーダーシップ、技術、ドキュメント作成と4つの側面から支援して進めることにして、リーダーシップ、技術、ドキュメント作成の3つをアビームが担当した。サポートにおいては、安易に答えを教えずに導いて、新人が品質を保った形で成果物を生み出すことができるようにすることを重視した。「アビームは新人が自ら気付くようにするために、地道にサポートを続け、秋には予定通りプロジェクトを完了させることができました。開発したのはSkill Frameworkのウェブシステムで、社員全員が使うこともあり、メンバーは大きな達成感を得ることができました」(宮田氏)。

 Fast Pathの成功を受けて、SOMPOシステムズでは若手や中堅の社員も問題を自ら解決する自律的なキャリア解決が重要だと判断、獲得した知識を実際に活用してものづくりを試す場として、「Open Fast Path」を構想した。「今まで多数の研修を実施してきましたが、社員はやらされているという感覚を持っていました。Fast Pathで新人の目の色が変わり、成長していくのを目の当たりにして、Fast Pathをヒントに社員のスキルアップを図ることはできないかと考えたのです」(宮田氏)。

 若手・中堅向けの技術系集合研修は、IT基礎知識を得るために行われ、得た知識は現場で問題解決に活用されていく。本来、問題解決には様々な手法があり、それらを考えだしたり組み合わせたりしながら、その時点での最適解を社員は考えることが求められる。その一連のプロセスをカリキュラムにできないかと考えた。そこで、1つの問題に対する、いろいろなアプローチや解決方法の存在を社員自身が体験できるようなプラットフォームをつくることにした。そして、誰もが利用が可能なオープンな形式での、問題解決の学びのためのプラットフォームと位置付けて、テーマを設定。アビームはJavaやPythonなどの言語や、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)など開発手法の技術ガイドラインやサンプルプログラムなどを作成し、プラットフォームを充実させた。本取り組みは2020年4月、構想から4か月という短期間で、まずJavaについて運用を開始することができた。「Open Fast Pathに参加する人は自分のPCに環境をダウンロードして、開発作業を進めていきます。そこでは質問がたくさん出てきますが、その質疑応答を1年半以上にわたってアビームにお願いしています。研修参加者が増えれば増えるほど、対応も大変になりますが、アビームは解決のためのヒントの提示も絶妙で、回答にタイムラグもありません。本当にきめ細かい対応で、まさに唯一無二のリアルパートナーです」(宮田氏)。

Story

導入効果と今後の展望

制度定着と社員の学びに対する意欲の一層の醸成、人事制度との連携を強化

 Open Fast Pathはオープンシフトと最先端の技術要素を自分だけの場で納得いくまで学ぶことができること、エンジニア同士が交流の場で刺激を与え合うことができる仕組みを構築し、社員が自発的に自己研さんに励む文化を醸成できたことなど、今までになかった人材育成施策であることが評価され、2021年8月、第6回HRテクノロジー大賞優秀賞を受賞した。

 2013年から8年余りの取り組みを通して、SOMPOシステムズでは、ITスキルの可視化・分析から見えてきた策定しなければならない施策・制度はほぼ完成したことから、今後は人材育成制度の一層の定着と、社員の学びに対するより自律的な意識の醸成、人事制度との連携強化を図っていく計画だ。そして、Skill FrameworkをDX人材育成へ活用するためバージョンアップし、DX関連スキルを持つ人の最適な配置を人事部門と連携して進めていく。

 また新卒採用は会社が優れた人材を確保する上で不可欠のため、Open Fast Pathを利用して、就職希望の学生が社員と一緒に働いているように感じることができるワークショップを実施、拡大している。会社や先輩社員の魅力、働き方などを実感できることから、ワークショップは非常に高評価である。

 SOMPOシステムズでは、さらに、Open Fast Pathの他社への外販を検討するほか、大学でも低学年から利用できるようにして、コミュニティーの形成とノウハウの共有を図っていく考えだ。
 

自律的キャリア開発に向けての全体構想

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