企業価値向上を実現するポートフォリオ・マネジメント支援サービス

ソリューション

事業ポートフォリオ変革を”マネジメント”する力と仕組みを実装することで企業価値向上を促進

事業ポートフォリオマネジメントとは、高収益事業の集合体に経営構造を変えていくために、経営層が個々の事業の成長・改善・撤退のストーリーを組み立て、実現に向けた経営資源の再配分や投資を意思決定し、実行する経営手法です。
多くの企業において、企業価値を向上する目的で会社の長期ビジョンや中期経営計画で「事業ポートフォリオ変革」を謳っているものの、定量分析・予測に時間を費やし投資の優劣が付けられていない、各事業への期待役割を社内外に理解・納得させるコミュニケーションが出来ていないなどの理由で実現できていないのが実情です。
「ポートフォリオ」というと、事業の成長性×効率性といった評価軸で可視化することが一般的ですが、社内外のステークホルダーとのコミュニケーションにおいて企業としてのあるべき姿を描くこと、経営陣の想いを表現することだけでは不十分です。
アビームコンサルティングは、企業価値を向上する「メカニズム」を構造的に捉え直し、ポートフォリオの「描き方」だけでなく、「考え方」や「使い方」を体系化し、実現の道筋を具体的に落とし込むための仕組み化を支援します。


背景

現状の収益性・経営効率だけでなく、将来への期待を高め、企業価値を向上させる上で「ポートフォリオ経営」が求められている

欧米中のグローバル企業と比べ、日本企業の資本効率や収益性、株価の低さは長年問題視されてきました。そのような中、東京証券取引所はPBR(株価純資産倍率)の低迷する上場企業に対して改善策を開示・実行するよう要請しています。また、デジタル化、グローバル化によって企業経営は複雑化しており、企業全体として「稼ぐ力」を高め、ステークホルダーに「成長期待」を醸成していくことがこれまで以上に求められています。
事業ポートフォリオは、CSO(Chief Strategy Officer:最高戦略責任者)を始めとするコーポレート部門だけでなく事業部門の責任者を巻き込んだ各事業の位置付け・期待役割を明確にすることや、CFO(Chief Financial Office:最高財務責任者)が投資判断をしたり、投資家・アナリストとのコミュニケーションにおいても、有効なツールです。
より高度で迅速な経営の舵取りのため、事業ポートフォリオを正しく、戦略的に使いこなすことが重要です。

課題

「ポートフォリオ」とは事業の切り売りではなく事業の「競争力」に焦点を当て、高めていくことである

問題点

  1. 自分たちで競争優位の源泉を見極めたり再定義する事は難しく、また、ポートフォリオを形成する個々の事業に焦点が当たりやすいため、各事業の短期的な収益を求めがちになる。ポートフォリオ全体で長期的視点に立ちつことが必要だが、投資期間に”経営の我慢”が出来ず、構造変革に繋がらないのが実情である。
  2. 成長事業へ投資していく優先順位付けだけでなく、各事業を横断する共通基盤となるケイパビリティを高めることが不可欠。
  3. 市場成長に追い付かず相対的に負けていても自社の収益規模が伸びていれば良しとする「内向き」の思考や、投下資本の大きさを考慮せず利益が出ていれば価値があると判断してしまう「PL偏重」に陥る経験不足などから、経営の舵取りにおける慣性の法則が働き、構造変革へのマインド変容に至らない。

アプローチ

ポートフォリオ・マネジメントを構成する、「成長ドライバー・マネジメント」「リスク・マネジメント」「ケイパビリティ・マネジメント」の3つのマネジメントと、「ガバナンス体系」「モニタリング体系」の2つの体系作りを支援します。

特長

  • 成長ドライバーの特定と、リスク・リターンの最適化

    財務的な数値指標を合わせていくのでなく、「事業フォーカス」し競争優位の源泉を見極め、磨くことをプランニング。シナリオ・プランニング等の手法を駆使した、事業リスクの織り込みとリターンのバランスを追求します。

  • 事業とリンクする人材ポートフォリオ/投資ポートフォリオ設計

    事業ポートフォリオを実現するためにヒト、モノ、カネの再配分を体系的に設計、運用します。経営、事業、財務、人事の守備範囲による分断を避け、事業変革を軸に各種ポートフォリオを連動させます。

  • ガバナンスとモニタリングの体制構築

    目指すポートフォリオを議論する取締役会等の会議体や社外取締役との関わり方、戦略・施策を浸透するコミュニケーションプランを策定します。また、ポートフォリオの実現度を評価・分析する体制を構築します。

詳細

成長ドライバーのKPI設計と絞り込み

ROICツリーのような、数値の綺麗な構造整理・計数分解に主眼を置くのでなく、事業環境変化、事業特性や課題を整理し、KSFの変化を捉えます。そのうえで、事業成長に欠かせないキーアクションを再定義し、KPIを見極め、絞り込みます。
また、将来想定される環境変化・トレンドを踏まえ、企業価値・収益性を毀損する可能性のあるリスクも見極めます。
これらを踏まえ、PBRやROICといった企業価値を測るKGIに対し、各事業の計画・業績予測と、その前提となるKPIをパラメータ化し、将来想定されるポートフォリオの実現イメージを複数シナリオで描きます。
目指すポートフォリオを、決め打ちや結果論にするのでなく、実現ストーリーを定性的・定量的に社内外のステークホルダーに説明できるロジックを組み立てます。

事業ポートフォリオを実現するケイパビリティの獲得

事業の成長スピードに合わせて不可欠な人的リソースの確保を考慮したポートフォリオを設計します。人材要件の変化、人材ポートフォリオを組み替える一連のストーリーを描きます。適時、労働市場からの人材を獲得することに加え、事業成長の過程で育成したりエンゲージメントを高める制度設計など、人的資本経営の要点を理解したうえで、事業ポートフォリオの実現性を検証します。
特に投資ポートフォリオにおいては、遅延浸透効果を認識した経営としての”我慢”の期間・規模感が織り込まれていることが重要であり、資本構成と事業成長をリンクした収益構造を設計します。

自社の事業特性・カルチャーを踏まえた運営体制づくり

ホールディングやコーポレート側の方針を浸透させる「求心力」と、各事業が期待役割に沿って自ら成長・変革していく「遠心力」のバランスを設計します。
また、投資期間から回収期間への転換点を考慮したモニタリングを仕組み化することで、絵に描いた餅でなく、経営オペレーションの一環としてポートフォリオの実現度を評価する体系を実装します。

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