マルハニチロ株式会社

「科学的な営業モデルへの変革、営業DX」の実現から始めるデータドリブン経営の推進
事例
  • 食品
  • DX
  • マーケティング/セールス/顧客サービス

国内人口減少社会に突入し、食品をはじめ多くのマーケットがシュリンクしていく局面の中、マルハニチロ株式会社(以下、マルハニチロ)では、国内市場での成長には、マーケットインの発想で消費者ニーズを的確に捉えていくことが不可欠と考え、改革を推進している。
そうした中、これまでも経理業務のデジタル・ペーパレス化を支援してきたアビームコンサルティングをパートナーに、2022年12月から営業DX(デジタルトランスフォーメーション)に着手。これまでの勘と経験に頼った営業スタイルと、事業ごとの縦割りになっている業務構造を改革するために、営業活動の基盤となるSFAの導入を皮切りに、データにもとづく科学的なデータドリブン営業への変革を推し進めている。

経営/事業上の課題

  • 営業担当者がコア業務に注力できるよう、非効率かつ個別最適化された業務の改善
  • 知見や勝ちパターンの共有による、各営業担当者の力量に頼った営業スタイルの改善
  • 全社横断的な取り組みの推進に向けて、戦略・データを事業部門単位ではなく全社で共有できる基盤の構築

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 顧客・商談管理の徹底による時間の創出とナレッジシェアの仕組みづくり
  • システム、業務、組織の一貫した改革による科学的な営業へのシフト
  • データドリブンマネジメントのプラットフォーム導入による、顧客視点/消費者視点での価値提供の実現

支援の成果

  • マネジメントの標準化と情報の蓄積により、異動後の立ち上がりスピードが改善
  • 個別最適だった営業戦略を、事業横断で改善検討する組織を立ち上げ、改革の機運を醸成
  • 勘と経験に頼った営業から脱却し、科学的な営業への変革

クライアント課題の難所

事業部門ごとの部分最適から脱却し、データをもとにした価値創造へ

マルハニチロでは、事業部門ごとに業務運用や顧客対応が分断されていることが課題視されていた。特に顧客の目線からしたら同じ会社であるにもかかわらず、マルハニチロ内部で情報共有するための仕組みが十分でなく、提案内容の重複やシナジーの発揮などについての課題が顕在化していた。

時を同じくして全社でのDXの加速を目的にして設立されたDX推進部がマルハニチロの課題を炙り出すためのDXアンケートを実施した結果、営業担当の多くから、顧客についての情報が共有・蓄積されていないことで日々の営業活動や引継時に余計な労力が発生し、顧客に向き合った提案に時間を割けないという声が多く寄せられた。

これらの課題の解消のため、SFAツールの導入だけでなく、中長期的な視点での課題解決の伴走パートナーとしてアビームコンサルティングを選定。「豊富な事例をベースにした迅速なSFAツール導入によるクイックウィン」と「目指すべき姿から逆算した各種施策の着実な遂行」の両輪への取り組みを2022年12月より開始した。

プロジェクトの重要成功要因

システム構築・業務標準化・組織改革が一体となった営業DXの実現

【消費財業界向けテンプレートを活用したクイックな導入】
アビームコンサルティングの豊富な消費財業界向けのSFA導入事例をベースに作り上げた消費財業界向けテンプレートを活用し、プロジェクト開始からわずか3カ月という短期間で一事業においてトライアル利用を開始。
その後も事業ごとのビジネスモデルの違いを踏まえつつ、順次各事業への展開と導入済事業への定着化のための取り組みを並行して実施しており、2025年度中には全社導入が完了予定。早い段階でのデータの蓄積と、定着にあたっての課題の洗い出しができたことが、各事業への展開における非常に大きなポイントとなった。

【現場に密着した定着化の草の根運動】
一方で、改革の実現にあたっては、トップダウンでのメッセージ発信だけではなかなか現場の営業担当者にまでその意図や目的が伝わらないという問題があった。
そのため、各組織の有志を募って推進組織を立ち上げ、SFAツールの活用方法の伝達や改善のためのアイディアの検討を一体となって実施。検討結果を持ち帰って、旗振り役として現場に発信してもらうことで、ボトムアップでの浸透を実現した。

【システム導入だけでなく、業務標準化と組織改革も一体となった推進】
単なるデジタル化に留まらず、DXを実現するため、事業ごとにばらついていた業務の効率化や標準化を実施。また、業務の標準化や事業横断での営業戦略の策定にあたっては、データという土台をもとにして、横ぐしを通して営業改革を推し進める組織が不可欠であることをプロジェクト発信で具申。その結果、2025年度からはDX推進部内に営業DXとデータドリブンを事業横断的に推進する組織が新設され、変革のスピードをさらに加速させていく。

【科学的で"勝てる"データドリブンの営業モデルへの変革】
変革は営業モデルそのものにも及び始めている。これまでの自社の都合や思惑を押し付けるような提案ではなく、外部データを活用した客観的で説得力のある「勝てる」提案ができるように、外部データと内部データを掛け合わせて分析できるようなデータ基盤の整備に着手している。
分析のスキル向上やKPIマネジメントの概念の浸透など、クリアすべき課題は多いものの、営業モデルの変革に向けて一歩ずつ着実に前進している。

アビームの貢献

ロードマップに基づいた、寄り添う伴走支援

アビームコンサルティングは、今回の改革を推進する際に、2つの大きな「決まり事」をマルハニチロとともに定めた。
一つは「目指す姿から逆算した改革の推進」だ。
一方で、急激な変革は現場の反発による頓挫や息切れを引き起こしかねない。そのため、もう一つの決まり事として「寄り添う変革」を掲げ、マルハニチロの現状をしっかりと踏まえて、実現のためのロードマップを描き、段階的に改革を推進してきた。
この2つの決まり事をもとに、アビームコンサルティングはしっかりとマルハニチロと同じ方向を向いて、評論するのではなく、一緒になって実践することを心がけた。「べき論」は踏まえた上で、現実解をマルハニチロの立場に立って検討し続けることで、事業ごとに異なるビジネスモデルにも寄り添った目指す姿を共に創り上げることに成功した。
今後は、マルハニチロが目指す消費者起点のバリューサイクルの実現に向けて、社内のデータだけでなく、外部のデータも活用した"勝てる"営業モデルへの変革を加速させていく予定だ。

走るべき道筋を照らしながら、一緒になって走り続ける。今後もアビームコンサルティングは、マルハニチロのパートナーとして変革を成し遂げるための共創を実現し続けていく。


SFA導入を基軸に営業改革推進のご支援をいただいております。弊社は多くの事業部門があり多種多様な営業課題がある中、現場に寄り添った丁寧な提案をいただけることで、着実に営業改革が進んでいると感じています。今後ともご支援の程、よろしくお願いします。

マルハニチロ
DX推進部 営業デジタルマーケティング推進課
副部長
長谷 高氏

今まで捨てられていた営業情報は、営業担当の成長のための資産であり、データドリブン営業の素地になると考えてます。アビームコンサルティングには業務整理からシステム構築まで、幅広い業務の支援をいただき、ここまで推進できました。今後とも変革のご支援をよろしくお願いします。

マルハニチロ
DX推進部 システム管理課(2025年3月時点)
主任
工藤 亮太氏

Customer Profile

会社名
マルハニチロ株式会社
所在地
東京都江東区豊洲三丁目2番20号 豊洲フロント
設立
1943年3月31日
事業内容
漁業、養殖、水産物の輸出入・加工・販売、冷凍食品・レトルト食品・缶詰・煉製品・化成品の製造・加工・販売、食肉・飼料原料の輸入、食肉製造・加工・販売
資本金
200億円
マルハニチロ株式会社

2025年5月19日

専門コンサルタント

  • 水野 美歩

    Principal 商社・コンシューマー ビジネスユニット長
  • 辻 竜太

    Director

Contact

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