アビームコンサルティング、新規事業創出の実態調査を発表

新規事業創出の検討は増える一方、実際に創出に至っている割合は45% 5年間で10%低下していることが判明
お知らせ

2018年11月28日

アビームコンサルティング株式会社

 アビームコンサルティング株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:岩澤 俊典、以下:アビームコンサルティング)は、このたび「新規事業の実態調査」を実施しました。本調査は、日本企業の新規事業創出の取り組み実態から、創出に求められる事業計画立案プロセスおよび事業基盤を明らかにし、その成功要因を導き出すことを目的に実施しました。

 近年、顧客ニーズの多様化や経済のグローバル化、最新のデジタル技術を活用したディスラプター(破壊者)の登場により、企業の経営を取り巻く環境は急速に変化し、既存事業の短命化が進んでいます。このような状況において競争優位を持続するため、各企業では新規事業創出に向けた取り組みが活発化しています。

 本調査によると、新規事業を検討した企業が事業創出に至る割合は全体の45%に留まりました。この結果は2013年の調査より10%低下し、新規事業の検討から創出までには未だに大きなギャップがあるとともに、5年前と比較して難易度が上昇していることを示しています。また新規事業において「デジタル技術活用の重要性が増した」と回答した企業は78%となり、デジタル技術への関心は増していることが伺えます。一方、デジタル技術を活用した新規事業が創出に至る割合が38%なのに対し、活用しない場合は48%であり、デジタル技術を活用した新規事業創出の難易度はさらに高まっています。デジタル技術による新規事業創出は、パートナーとの連携やデータ活用がより盛んな傾向があるため、取り組みが複雑化していることが主な要因と考えられます。

 こうした結果に基づき、アビームコンサルティングは新規事業創出を成功に導く3つの要因と、企業が取り組むべき具体的施策について提言します。
 

【調査概要】
・調査期間 : 2018年3月1日 ~ 2018年3月31日及び2018年8月20日 ~ 2018年9月10日
・調査対象 : 売上規模200億円以上の有力企業
・調査方法 : 直近5年間の間に1回以上新規事業立ち上げに携わった
                     経営者、新規事業推進リーダー/担当者向けにWebアンケートを実施
・有効回答数 :780件

  • 今回の調査は、2013年に実施した「新規事業の実態調査」の続編として実施しました。

     

【新規事業の実態調査 概要】

1. 新規事業検討の契機 :企業の約50%が「既存事業の成熟/衰退」に対する危機感と回答
調査によると、回答者の約50%が「既存事業の成熟/衰退」に対する危機感をきっかけに、新規事業創出を検討したと回答しています。また、「既存顧客基盤の活用」と回答した企業は2013年の調査より約15%低下しており、既存事業の延長に留まらない新規事業創出が求められていることがわかりました。

図1 新規事業検討のきっかけ 【図1 新規事業検討のきっかけ】

2. 新規事業検討の実態 : 新規事業創出フェーズに至る企業は半数以下
新規事業創出を検討した企業のうち創出に至る割合は45%と半数以下で、2013年の調査より10%低下しており、新規事業の検討から創出までには未だに大きなギャップがあることがわかりました。また、企画段階(コンセプトの創造から事業計画の立案まで)にかける期間も、顧客ニーズや最新技術動向などの変化への対応により、2013年と比較して若干長くなっているのも特徴です。

図2 新規事業創出各フェーズにおける成功率の変化 【図2 新規事業創出各フェーズにおける成功率の変化】
図3 新規事業創出のための検討期間の変化 【図3 新規事業創出のための検討期間の変化】

3. デジタル時代の新規事業創出 : デジタル技術を活用した新規事業が創出に至る割合は、活用しない場合と比較し10%低い結果に
企業が競争優位性を獲得、維持するため、ビジネスにおけるデジタル技術の活用が叫ばれて久しいものの、デジタル技術を活用した新規事業が創出に至る割合は38%で、活用しない場合の48%と比較し、創出準備の段階での撤退が多いことが示されました。これは、デジタル技術を活用した新規事業創出においては、スタートアップ企業やテクノロジー企業といった新しいパートナーとの連携や、自社や既存顧客などに関するデータの活用が盛んな傾向があり、これらによって難易度が高まっていることが主な要因と考えられます。

図4 デジタル技術活用の有無による成功率の比較 【図4 デジタル技術活用の有無による成功率の比較】
図5 デジタル技術活用の有無によるパートナー活用実態の比較 【図5 デジタル技術活用の有無によるパートナー活用実態の比較】

【アビームコンサルティングの考察】

~新規事業創出に向けた3つの成功要因と提言~
 変化が早く不確実性の高い環境下において企業が持続的に成長していくため、今後も新規事業創出のための取り組みが活発化することが見込まれます。アビームコンサルティングは、新規事業の創出に成功した企業と創出に至らなかった企業を比較・分析し、以下の3つを成功要因として導き出しました。

1. 迅速なコンセプト検討と修正プロセスの構築
事業計画に落とすことを目的にせず、コンセプト段階で繰り返し顧客へのヒアリングを経た修正を行い、より顧客や市場に求められる内容にブラッシュアップをする。初期段階では固定した顧客を無理に設定せず、プロトタイプを作成しロングリストアプローチによる受容性確認を行うなど、顧客の反応を早期に取り組むリーンアプローチにより、成功確率を高めることが重要
 

2. 柔軟なパートナーリング設計
新規事業を成功させる重要なポイントは自前主義を捨て、柔軟なパートナーシップ構築にある。パートナーの選定においては、その選定が後々の制約条件にならないよう、コンセプトの修正・転換に対して柔軟に変更や追加ができる仕組みづくりが必要となる
 

3. 企業内で共通化した方法論やルールの確立
新規事業創出のための取り組みは、多種多様な事業において同時進行で検討される。社内外の様々なステークホルダーが関わるため、属人的ではない共通化した方法論やプロセスの設計を行い、共通言語として確立し、ノウハウとして蓄積することが求められる

 

 今回の調査結果を通じて、デジタル活用が進む中、新規事業創出の取り組みはより難しく、複雑化していることが判明しました。複雑化する中でも成功事業には共通する3つの要因があります。アビームコンサルティングではこの3つの要因を踏まえた新規事業創出のご支援を(コンセプト検討、エコシステム構築、方法論の構築、事業開発人材育成等)、リアルパートナーとして引き続き実施して参ります。

  • アビーム、ABeam及びそのロゴは、アビームコンサルティング株式会社の日本その他の国における登録商標です。

  • 本文に記載されている会社名及び製品名は各社の商号、商標または登録商標です。

アビームコンサルティング株式会社について

アビームコンサルティングは、アジアを中心とした海外ネットワークを通じ、それぞれの国や地域に即したグローバル・サービスを提供している総合マネジメントコンサルティングファームです。戦略、 BPR、IT、組織・人事、アウトソーシングなどの専門知識と、豊富な経験を持つ約 5,200 名のプロフェッショナルを有し、金融、製造、流通、エネルギー、情報通信、パブリックなどの分野を担う企業、組織に対し幅広いコンサルティングサービスを提供しています。
ホームページ:https://www.abeam.com/jp/

本件に関するお問い合わせ

アビームコンサルティング株式会社
経営企画グループ コーポレート・コミュニケーションユニット
シニアマネージャー 樺澤わかな 、千住英里
TEL:03-6700-8227、080-2003-1833  FAX: 03-6700-8145
E-mail: wkabasawa@abeam.com
    esenju@abeam.com

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