実際に社会インパクトを織り込んだKPI管理をしている企業の事例を以下に紹介する。
Unileverは、「サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”に」というパーパス(理念)を掲げ、それを経営戦略の中心に据えている。同社の優れた点は、このパーパスを単なる目標で終わらせず、財務情報と同じ厳密な基準で非財務KPIを管理・開示している点にある。
同社は「Basis of Preparation」という文書において、GHG排出量、再生可能エネルギー電力比率、プラスチックの削減率、食品廃棄削減、製品の栄養基準などの非財務KPIに対し、指標の定義・測定範囲・計算方法を極めて厳密に明文化している。※1
「独創的なモーションコントロール技術で、安全・安心・快適な社会の実現に貢献する」という企業理念を掲げるナブテスコは、将来の社会課題解決に必要な「コア価値」と現状とのギャップを認識した上で、その獲得・強化策を非財務も含めたKPIに落とし込んでいる。同社が特徴的なのは、単なる売上や利益といった遅行指標ではなく、将来の企業価値を生み出す源泉である人的資本・知財資本に焦点を当て、「知財創造届出件数」や「イノベーションの担い手となる発明者割合」といった、将来の成長期待に資する指標をKPIとして管理している点である。※2
さらに近年では、ここから一歩進み、社会インパクト自体の定量化・金銭価値化に挑戦する企業も増えてきた。これまで財務諸表には表れにくかった、企業活動が社会に広く及ぼす影響を「評価可能なもの」として金銭価値として表現することで、より高度な経営管理や経営判断に活用する取り組みである。
アビームコンサルティングでは、企業活動がもたらす社会的インパクトの可視化手法である「インパクト会計」のデファクトスタンダードの確立と、企業の実益に資する活用促進を目的とした企業共創型コンソーシアムImpact Value Consortium(IVC)を設立し、日本企業の持続的な企業価値向上につながる評価軸の確立を目指している。社会インパクトの金銭価値化に関する詳細は下記を参照されたい。
Impact Value Consortium | Impact Value Consortium