昨今、サイバーセキュリティの分野を中心として、サードパーティリスク管理(以下、「TPRM」※1)が注目を集めている。ただし、その対象はサイバーセキュリティだけにはとどまらず、サードパーティの範囲もベンダーのみに限定されない。加えて、経済安全保障の要請にも応える必要があるなど、TPRMの実施に際しては、これまで金融機関が行なってきた契約管理やベンダー管理の既存の枠組みを超えた対応が求められている。
また、2025年12月には、金融業界において議論が行われてきた「健全なサードパーティリスク管理のための諸原則」(以下、「諸原則」)※2が最終化され、バーゼル銀行監督委員会から公表された。この「諸原則」では、サプライチェーンの遥か先にいるパーティーとの関係が孕む魑魅魍魎(ちみもうりょう)のようなリスクを捕捉するよう要請している。
こうした状況を踏まえ、本インサイトではリスク管理・コンプライアンスの実務経験豊富な筆者※3がTPRMの前提となる諸課題について考察する。