日本発の総合コンサルティングファームとして存在感を放つアビームコンサルティング。新たに「共創型BPX(ビジネスプロセストランスフォーメーション)」を掲げる。企業の包括的なBPX推進支援を開始した背景とは。具体的な支援サービスの内容、同社の強みについて、執行役員の原市郎、髙橋克嘉に話を聞いた。
日本発の総合コンサルティングファームとして存在感を放つアビームコンサルティング。新たに「共創型BPX(ビジネスプロセストランスフォーメーション)」を掲げる。企業の包括的なBPX推進支援を開始した背景とは。具体的な支援サービスの内容、同社の強みについて、執行役員の原市郎、髙橋克嘉に話を聞いた。
この10年ほどでビジネスを取り巻く外部環境は大きく変化した。多くの企業が全社を挙げてDXの真っ只中にある。コーポレート機能も例外ではない。裏方的な定型業務(効率化対象業務、オペレーション)からの脱却を図り、企業の競争力強化に向けた企画・マネジメントといった提案型業務にコミットするプロアクティブな意識が求められるようになった。
2024年、アビームコンサルティングは13年ぶりにSSCを中心としたコーポレート機能に関する調査※を実施した。原はその結果を踏まえ、「SSCが期待していたレベルに達していないことが判明しました。効率化に関しては一定の成果を上げているものの、当初のSSCの目的である業務の標準化・高度化が実現できていないからです。またBP(ビジネスパートナー)・CoE機能を担うべき本社のミッションが不明確であったり、SSCとの連携不足で価値創造に至っていないのが実態です」と語る。
※ 「日本型シェアードサービスの再生と進化 2.0」 https://www.abeam.com/jp/ja/insights/063/
髙橋は「現在のコーポレート機能は効率化の限界、人材の高齢化や中間層の不在、業務改革人材の不足、BPO活用による業務のブラックボックス化など様々な課題が存在し、負のスパイラルに陥っています」と指摘する。課題解決に向け、同社ではコーポレート機能の役割を再考した「エンタープライズバリューロール(EVR)」を提唱。
「ピラミッド型のEVRでは、下部からサービスデリバリー、CoE、BPが段階的に並びます。サービスデリバリーは徹底的な自動化、CoEは業務改革やガバナンス強化による事業への貢献、BPは戦略・企画機能の強化による競争優位性の確立を目指します」(髙橋)
「レイヤーを明確化して、コーポレート機能をガバナンスや事業推進のキーコンポーネントとするのが狙い。SSCに関しても、サービスデリバリーだけでなく事業に貢献する人材の視点を加え、CoEの権限を持たせて活躍できるようにすれば、企業価値を増大する部門に転換可能なはずです」(原)
このモデルに基づき、アビームコンサルティングでは共創型BPXサービスを提供している。その名の通り「ともに価値を作るBPX」であり、同社のブランドスローガン「Build Beyond As One®.」を体現したものだ。具体的には業務・システム一体型のトランスフォーメーション支援、中長期での継続的な変革支援、企業の事情に応じた柔軟な契約形態を柱とする。
原は「最も強化したいのはCoEの部分。お客様が価値を向上することに伴走して、我々の人材、スキル、テクノロジーを提供しながらCoEを最適化していきます」と説明する。
例えばサービスデリバリーでは、BPaaS(ビジネス・プロセス・アズ・ア・サービス)によるサブスク型サービスを提供。業務量の多寡にかかわらず、これまで以上に定型業務の効率化が可能になる。生まれた余剰リソースは高付加価値業務に充当できる。新たな価値提供に向けたリスキリングも随時展開する。
「IC(インテリジェントセンター)」も特徴の1つ。AIをベースとするDXソリューションを提供するほか、クライアントが参画して人材交流、共同開発を行う場としても活用する。髙橋は「共創空間を提供することで相互に高め合っていきたい」と話す。
既に複数の企業と共創型BPXがスタートしている。ある大手製造業クライアントは同社内のノウハウを生かしてコーポレート人材のケイパビリティを最大化。アビームコンサルティングは、リスキリングやOJTなど人材育成の仕組み化を支援した。クライアントは今後、外部でも活躍できうるプロフェッショナルにコーポレート人材を育成していく予定だ。クライアントとの二人三脚で、こうした手厚い伴走支援をできるのが日本発コンサルファームならではの強みといえる。
原は次のように結んだ。「もともとコーポレート機能を担う人たちのスキルレベルは高い。今後、我々はコーポレート機能やSSCをバックオフィスという位置づけではなく『ビジネスインテリジェンスオフィス』の名称に置き換え、共創型BPXを通じて企業の成長を一緒に支えていきたいと考えています」。
著作・制作:日経ビジネス(2025年3月号広告)
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