自社内の巻き込みを進めるうえで、是非こうした効果もあることを説得材料のひとつとして参考にされたい。
一方、サプライヤーへの動機付けは、自社とサプライヤーとのパワーバランスによってその必要性が企業ごとに大きく異なるが、サプライヤーエンゲージメントの活動を通じ脱炭素の取組みをサプライヤー自身が対外的にPRできることや、省エネ活動に取り組むきっかけにもなっているという声があった。
また、サプライヤーも当然ながら様々な企業と取引をしているため、複数の取引先から排出量情報の開示を求められていることがある。排出量算定支援は、他社からの開示要請があった際にもその算定結果を転用できることから、サプライヤーに協力いただく動機付けになっているという企業もいた。
こうした外部の事例は説得材料のひとつになるものの、それ以上にサプライヤーの巻き込みに効果的なのは、やはり自社におけるサプライヤーエンゲージメントの活動実績であると考える。すでに自社からの要請によりいくつかのサプライヤーでエンゲージメント活動が行われていれば、活動を通じて得られたメリット・デメリットはより信頼できる情報であり、実行に踏み切るための大きな材料になる。また、他サプライヤーに後れを取らないようにしたい、という意識が働くサプライヤーもいるので、まずは自社でサプライヤーエンゲージメントの活動実績を作ることを心掛けてほしい。