昨今の物価高騰や人件費の上昇、地政学リスクを背景に、一部の企業でオフショアからニアショアにシフトする動きが出ている。これにより、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)によるコスト削減の仕組みが、崩れつつある。しかし、コーポレート部門に目を向けると、単純なコスト削減から高付加価値業務への注力や人材不足の解消を優先課題として取り組む中、スピーディーに纏まった労働力を確保できるという点から、BPOに再び注目が集まっている。
BPOは、現有メンバーの余力創出に有効である一方、余力創出のスピード感と規模感が、高付加価値業務化や人材不足解消といった本来の目的・ゴール達成までのスピード感・規模感とマッチしていないケースが散見される。こうした“ちぐはぐな計画”が、「BPOによって業務委託費は増えたが、高付加価値業務へのシフトは進まず、新たな成果に繋がらない」「既存の人件費が減らないためトータルのコストが増加する」という、BPOの落とし穴に多くの企業を陥れている。
このようなBPOの落し穴に陥らないためには、余力創出と余力活用の需給ギャップが生じないよう、「余力創出のためのBPO計画」と「余力の活用計画」の整合が肝要となる。いたって当然のことだが、なぜ多くの企業が対応できないのか——。本インサイトでは、BPOの落とし穴の原因を紐解き、その対応策を提言する。