AIエージェント活用による工数見積業務の高度化とIT部門の変革 ―Agentforceとデータ基盤を活用した工数算定業務の効率化・自動化を推進―

明治安田生命保険相互会社
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明治安田生命保険相互会社

明治安田生命保険相互会社(以下、明治安田)では、AIの進展に伴うIT環境の急激な変化に対応するため、情報システム部がより付加価値の高い「攻め」のIT業務へ注力できる体制の構築が急務となっていた。その実現に向けては、「守り」領域における業務の効率化・省力化が前提となる。
こうした背景のもと、2025年7月よりアビームコンサルティングの支援を受け、AIエージェントを活用した業務効率化に着手。システム対応の工数見積業務の高度化を起点に、業務のセルフサービス化および自動化を推進してきた。
現在は、これらの取り組みを基盤として、AIエージェントを活用したさらなる業務高度化を進めることで、次世代型の情報システム部への転換を目指している。

経営/事業上の課題

  • 情報システム部の工数見積業務は年間約1万時間に及び、特に次年度案件の検討時期に業務負荷が集中していることから、負荷平準化と効率化が求められている
  • 工数算定が特定領域のエキスパートの経験・勘に依存し、再現性や標準化が困難な属人的プロセスとなっていることから、見積プロセスの標準化と高度化が求められている
  • AIの進展に伴うIT環境の急激な変化に対応するためには、「攻め」のIT施策へのリソースシフトが不可欠であり、その前提として「守り」領域の効率化・省力化が急務

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • AIエージェントを活用し、Salesforceに蓄積されたシステム開発案件データを基に、見積取得を希望するユーザー自身が概算工数を把握可能な仕組みを構築
  • 回答精度の向上に向けて、AI活用を前提としたデータモデル(AI-Ready化)の整備を推進
  • ユーザーからの問い合わせ応答の自動化やプロジェクトマネジメント支援を通じて、情報システム部における業務高度化(バリューシフト)を継続的に支援

支援の成果

  • ユーザーがAIとの対話を通じて、自律的にシステム対応工数を把握できる環境を実現
  • 工数見積に加え、類似案件の提示や情報投資計画レコードの自動起票などを実装し、業務効率化と負荷軽減を両立
  • 工数算定を中心とした業務負荷の軽減を見込むとともに、より付加価値の高い「攻め」のIT施策への注力を促進

クライアント課題の難所

属人化・高負荷な工数見積業務の構造課題とAIによる高度化

明治安田の情報システム部では、工数見積業務に年間約1万時間を要しており、特に次年度案件の企画・検討が集中する時期には、他業務を圧迫する大きな負荷となっていた。加えて、工数算定は特定分野のエキスパートの知識・経験に依存しており、属人化と再現性の低さが課題となっていた。

こうした課題に対し、Salesforce上に蓄積された過去のシステム開発案件データを活用し、ユーザー部門が自らシステム対応工数を把握できる仕組みの構築を目指した。これにより、工数算定業務の効率化と属人化の解消を図った。

実現に向けては、従来よりSalesforce活用に関する意見交換を行っていたアビームコンサルティングとの協議を経て、過去のシステム開発案件データが蓄積されているSalesforceのAIエージェント「Agentforce」を活用することで最もクイックに実現ができると判断。2025年7月より、Agentforceを活用した対話型工数算定AIのPoCを開始した。

プロジェクトの重要成功要因

AI精度を支えるデータ整備と短サイクル検証の実践

本取り組みにより、ユーザーがAIとの対話を通じて、システム対応に必要な工数を自ら把握できる環境を実現した。さらに、Agentforceを活用し、類似案件の提示やシステム開発依頼レコードの自動起票など、従来は情報システム部が担っていた業務の一部を自動化。これにより、工数算定を中心とした業務負荷の大幅な軽減を見込んでいる。

こうした成果の実現においては、見積業務の信頼性確保の観点から、AI回答の精度が業務適用の前提条件となる。そのため、AIによる工数算定の回答精度向上が重要な成功要因となった。本プロジェクトでは、AIエージェントの構築に先立ち、精度向上の基盤となるデータ整備に着手。情報システム部のプロジェクト推進プロセスを詳細に分析し、従来データ化されていなかった各種資料をAIによりSalesforceへ取り込むことで、学習・参照データを拡充した。

その結果、AIによる工数算定の回答精度向上を実現するとともに、継続的な精度改善を可能とするデータ基盤を構築した。

アビームの貢献

前例の少ないAgentforce適用を実現する知見と継続的な変革推進

システム開発工数算定へのAgentforce適用は国内でも前例の少ない取り組みであったが、アビームコンサルティングはこれまでに蓄積した知見を活用し、短期間で工数算定自動化AIを構築。早期の効果検証を実現した。

また、明治安田との密な協議のもと、施策検討から実装・検証までを短いサイクルで推進。当初はインプットデータ不足により見積精度に課題があったものの、必要データの整理やあるべきデータモデルの設計、仕様改善提案を通じて柔軟に対応し、精度向上を実現した。

さらに、次世代型の情報システム部への変革を見据え、AIエージェントを活用した新たなユースケースの検討を伴走型で支援。情報システム部の役割を「守り」から「攻め」へ転換する取り組みを継続的に推進している。


システム開発工数の見積もりは、これまで高度な専門知識と多くの時間を要することが課題となっていました。当社はシステム開発案件の情報をSalesforceに集約してきましたが、蓄積データとAIエージェントを活用し、見積もりの効率化に取り組んでいます。本取組みは、Salesforceと生成AIの双方に関する深い知見と高い技術力を有するアビームコンサルティング様のご支援により実現したものです。現時点では、長年の課題に対してようやく第一歩を踏み出したところですが、今後も改善を継続し、精度向上と運用定着を図りながら、見積もり業務のさらなる高度化を目指してまいります。

情報システム部 システム基盤開発室
顧客管理・サービス基盤開発グループ
グループマネージャー
池田 匡克 氏

情報システム部 システム基盤開発室 顧客管理・サービス基盤開発グループ グループマネージャー 池田 匡克 氏

過年度から蓄積してきたシステム開発案件のデータを活用して見積りを効率化することを目的に、アビームコンサルティング様のご協力のもとプロジェクトを推進してきました。要件整理をチャット形式で支援し、概算見積りを提示するとともに、妥当性判断に資するために類似案件の情報も提示する機能を整備しました。現在は情報システム部門・ビジネス部門双方で活用が始まり、効率化につながったとの評価も得ています。今後はAIの示唆をより精緻にし、要求事項の具体化や見積りに必要な機能の洗い出しにも活用できるよう拡充を進めていきます。

情報システム部 システム基盤開発室
顧客管理・サービス基盤開発G
主席スタッフ
芦川 正彰 氏

営業第一本部農林水産部長 高田朋志 氏

Customer Profile

会社名
明治安田生命保険相互会社
所在地
東京都千代田区丸の内2-1-1
設立
1881年7月9日
事業内容
生命保険業および生命保険業に付随する業務および法定他業
資本金
9,800億円
明治安田生命保険相互会社

2026年9月7日

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