千代田化工建設はSAPの導入をきっかけに2012年からアビームコンサルティングが支援を開始した。アビームコンサルティングの提案力や企画から実現までの一貫した支援が評価され、コーポレートDXの重点施策の1つである、タレントマネジメントの推進についての支援を2022年12月から開始。アビームコンサルティングのリードのもと、コーポレート部門に限らず、各現場も巻き込んだディスカッションを実行し、千代田化工建設のタレントマネジメントに関する課題を以下のように整理した。
1. 世代間のギャップと継承の問題の解消
現在の人員構成には世代間のギャップが存在し、特に中堅層の退職(世代間の空洞化)が進む中で、組織運営に必要なノウハウや専門的知識の継承が不十分であった。この状態が継続すると将来の組織運営に支障をきたし、企業としての競争力が低下する恐れがあるため、次世代のリーダーや専門家の育成が急務となっている。
2. 事業戦略に対応した人財の獲得と育成
事業戦略の実現に向けて、新規分野へのEPC(設計、調達、建設)の拡大と継続型事業の確立が求められている。競争の激化に対応するため、特に事業開発に特化した人財の獲得と育成が必要不可欠であり、適切な人財の確保と育成計画を立てる必要があった。
3. 配置の最適化と可視化
現状では、プロジェクトへのアサインが個々の人間関係や暗黙知にもとづくことが多く、全社的な最適化が進んでいない。このため、組織全体での最適な配置や社員が自ら成長したい方向に向かっていく「自律的なキャリア」につながるアサインとして改善の余地がある。そのため、人財情報の可視化とデータにもとづいたアサインが実現できるような仕組みづくりが必要だった。また、社員にとって志向が薄いアサインである場合も、そこで得られる経験やスキルが、千代田化工建設におけるキャリアで、将来どのように活用されるのかを可視化することにより、自身のイメージだけでは想像もしなかったキャリアパスへの気づきを提供することで、社員のモチベーション向上を図ることにした。
4. 社員と会社が共にキャリアを育める環境の整備
多様な変化が発生する事業環境下において、社員一人ひとりが自律的に自らのキャリアを考えて成長していくことが求められている。そこに、会社としても社員のキャリア志向を把握し、対話をしながら適した成長の場を提供していく必要がある。また、社員がキャリアを考える上で、会社の事業の中で自らの可能性が大きく広がっていくことを知り、多様なフィールドで活躍できる"しなやかなマインドセット"を育むことで、社員が理想とするキャリアパスを実現できる環境整備が必要。