エムエム建材株式会社

エムエム建材株式会社

Customer Profile

会社名 エムエム建材株式会社
所在地 東京都港区東新橋一丁目5番2号 汐留シティセンター 17・18F
設立 2014年
事業内容 【建設鋼材事業】
建築鉄構・土木建材・ベースパック・システム建築・棒鋼・条鋼に関する販売・加工・輸出入及び土木・建築関連の各種工事
【製鋼原料事業】
製鋼原料の国内・輸出入取引及び環境リサイクル事業推進
資本金 103億7,500万円

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

プロセスイノベーターが経営と現場をつなぐBPRプロジェクトで、異なっていた仕事のやり方を標準化、成長への土台を築く

2014年、経営統合によって設立した建設鋼材および製鋼原料専門商社のエムエム建材は、同じ部でも人によって仕事のやり方が異なることを、今後の成長における課題として捉えていた。そこで、アビームコンサルティングをパートナーに、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)プロジェクトに取り組み、業務の標準化を進めることにした。まずは、コーポレート部門全般と土木建材セグメントを対象に、プロトタイプの計画策定・実行を進めている。今後はBPRを全社に展開し、効果を波及させ、成長のステージへとつなげていく方針だ。

エムエム建材株式会社

プロジェクト概要

導入前の課題

  • 業務が標準化されておらず、同じ部の社員間でも仕事のやり方が異なる状況の解決
  • 標準化・自動化・集約化を切り口にした抜本的な業務改革の実現

ABeam Solution

  • BPRプロジェクト支援

導入後の効果

  • コーポレート部門での人材流動化による筋肉質な体制を実現
  • コーポレート部門とプロトタイプの土木建材セグメントでの業務職の業務量削減を実現
  • 総合職・業務職の残業時間の低減が可能に
  • バックオフィス業務ピーク時の拠点間応援体制を整備

Story

宮澤 正明 氏

アビームには、全社へのBPRの展開と、自発的な業務改革を継続的に実行する文化の醸成に向けて、引き続きサポートをお願いします

 

エムエム建材株式会社
代表取締役社長
宮澤 正明 氏

Story

プロジェクトの背景

業務の標準化による社員の仕事のやり方が異なる状態の解消を目指す

 エムエム建材はメタルワン建材および三井物産スチールの建設鋼材事業と製鋼原料事業を継承して、2014年に設立された鉄鋼の専門商社である。同社は系列である三井物産、三菱商事、双日の各グループの持つ情報力を背景に、グループ会社と連携しながら建設鋼材の国内外での売買・在庫・加工、工事、そして製鋼原料の国内外での売買などを展開、建造物の建設やインフラの整備に携わっている。

 同社は、前身会社を含め統合を経て設立しているという歴史から、社員はさまざまな会社で仕事をしてきた経験を持つ人が多い。「こうしたことが背景になって、グループ会社も含めて社員が10人いると、10人ともバックグラウンドが異なり、仕事のやり方がすべて違うのです。基幹システムは統一されているので、システム周りの計上業務のやり方は同じですが、受注から計上に至るまでのやり方は異なり、業務が標準化されていないのです」と同社 代表取締役社長 宮澤 正明氏は語る。

 同社では最終的には取引先との間で紙のやり取りをなくし、ペーパーレスでのデータを利用した取引の実現を目指している。ところが、現状では営業担当がそれぞれのやり方で活動しているため、ペーパーレス取引の前提となる業務の標準化ができておらず、その目標にたどり着けない。そこで、BPRプロジェクトをスタートさせて、業務の標準化を進めることにした。

Story

アビームコンサルティングの選定理由

PMI、基幹システム更新での実績とBPRに関する豊富な知見を評価

 エムエム建材では2014年11月の統合後、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)で、経営統合、業務統合、意識統合を進めてきた。その上で同社では統合・融合から次の成長ステージに進むには仕事の効率化が必要であることを強く認識していたが、基幹システムの入れ替えを先行させ、計画通り稼働させることができた。

 こうした中、同社では2019年度から3カ年の「新経営方針2019」で、「新しい仕事を創る」「仕事のやり方を変える」「仕事の仕組みを変える」の3つを大きなテーマとして打ち出している。「3つの中で、大きな課題になっていたのが仕事のやり方を変えることでした。中期経営計画の実現には仕事の標準化・自動化・集約化が必要になります。そこで全社を挙げたBPRを経営として決定、プロジェクトをスタートさせることにしたのです」と同社 取締役 常務執行役員 コーポレートスタッフ統括 中嶌 清氏(当時)は説明する。

 アビームコンサルティングは、同社のPMI、基幹システム導入の2つのプロジェクトを担い、社員の仕事のやり方を熟知していた。そこでの経験とBPRに関する知見を生かすことができると考え、アビームをパートナーに選び、BPRプロジェクトに取り組むことにした。業務の棚卸しからスタートし、大胆な発想で抜本的に仕事のやり方を変えるには、同社の仕事のやり方をよく知っていて、一緒に取り組んでいけるパートナーとしてのアビームが不可欠だった。

 

中嶌 清 氏

BPRプロジェクトを通して、社員も問題解決能力を身に付けてきています。アビームにはその動機付けなどを手助けしてほしいと思います

 

エムエム建材株式会社
取締役
常務執行役員
コーポレートスタッフ統括(当時)
中嶌 清 氏

Story

プロジェクトの目標・課題と解決策

現場の声の徹底的なくみ上げによる主体的なBPRの取り組みを推進

 エムエム建材では、拠点によっては、注文をFAXで受け、業務職社員がそれを転記して、システムに入力するというやり方が残っていた。こうしたやり方で生まれていた無駄をなくすために、BPRプロジェクトでは営業部門における業務の標準化・効率化による業務職社員の業務量削減、営業担当の総合職と業務職の残業時間低減、バックオフィスの業務ピーク時の拠点間応援体制の実現、コーポレート部門における人材流動化による筋肉質でより効率的に業務を遂行できる体制の整備を目標に据えた。

 プロジェクトは2020年6月にキックオフ、9月末までかけて基本計画を策定、10月からコーポレート部門と、営業部門のプロトタイプとして土木建材セグメントで、BPRに取り組んだ。

 プロジェクトは責任者の下、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)、BPR推進統括の部長に加えて、各部からBPR推進担当のPI(プロセスイノベーター)、拠点からBPR担当窓口の参画を得て、基本計画を策定、BPR実行、その後の定着・運用を図っていった。「プロジェクトで一番意識したのは現場の声をどうくみ上げるかという点でした。上から指示するやり方ではメンバーは思考停止に陥ってしまいます。そこで問題意識を強く持っている社員をメンバーに選び、何が課題なのかをしっかり議論することを心掛けました」(中嶌氏)。

 自分たちの仕事を見直せば、効率化が可能になり、その上で自分たちが企画したやり方にすれば、さらに仕事が楽になる。BPRを成功させるには、こうした形で自分たちが主体となって業務を変えていくという意識を持つことが重要になる。そのために、プロジェクトでは時間はかかっても、現場の小さな声をできるだけ拾い上げ、誰一人取り残すことなく、現場発のBPRが可能になるように丁寧に取り組みを進めた。「計画策定フェーズで、メンバーから自分たちの仕事を棚卸しして捻出できる時間を聞かされたときは『そこまでできるのか』と正直言って驚きました。メンバーはその数値を目標にして、さまざまな施策を実行していこうと強い意欲を持っていたので、これなら大丈夫だと手応えを感じました」(中嶌氏)。

 プロジェクトメンバーはさまざまな意見を持っていて、活発な議論が繰り広げられたが、社員だけだと、議論が平行線になったり、結論までたどり着かなかったりする。「そうした中で、アビームには知見に基づいたアドバイスや、標準化について自分たちが実行できるようなかたちでの説明をしてもらうことができました。そのアシストを得ることで、メンバーは納得感を得て結論を出し、BPRに取り組むことができました」(宮澤氏)。

Story

導入効果と今後の展望

全社に改革の意義を波及させ、効果拡大と継続的な業務改革を図る

 2020年春、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、社員は在宅勤務となる機会がさらに多くなった。その中で、現在ほどリモート環境が整備されていなかったため、基幹システムへのアクセスは1日約2時間という時間制限の中で業務を行わざるを得なくなった。その時間で、必要な仕事を行うには業務の標準化が必要であり、コロナ禍というピンチがチャンスとなって、BPRの実行が加速した。

 その結果、2021年4月段階で、コーポレート部門と土木建材セグメントでの年間業務削減時間は基本計画フェーズでの策定目標3万8367時間となった。さらに、ペーパーレスの効果として、7427時間を加え、合計で4万5794時間という大きな効果を得ることができた。「実際、土木加工製品部(当時)からは今までの半分位の仕事量になるのではないかという声が上がっています。そうした現場の高い評価の上に、土木加工製品部での運用が定着していくことが見込まれます。他部門では同様の取り組みをすればよいだけなので、それほど難しくなく、大きな波及効果が生まれると期待しています」(中嶌氏)。

 業務のやり方が統一されることで、社員の異動が容易になることも大きな効果だ。業界の特性として、景況に大きく左右されるため、業務の繁忙期、閑散期の移り変わりが激しい。それに対して、今までは仕事のやり方も異なっていたため、部門の繁忙期に対応した固定的な体制で、業務の繁閑に合わせて人員を機動的に異動できなかった。それが業務を標準化することで、人材を融通し合うことが可能になる。

 また伝統的な商社の営業スタイルの変革も可能になる。「営業担当にアシスタントの業務職が付いて、セットで仕事をするのが今までの商社の営業でした。それを崩して、サポートする業務職は付けずに、営業担当だけで仕事ができるような体制にしていきたいと考えています」(宮澤氏)。コーポレート部門も一つの仕事しかできないという、たこつぼ状態を壊して、全員がマルチスキル化していくことで、社員が新たな気づきや学びが可能な組織を目指していく。

 こうした成果の上に、エムエム建材では今後、全社へ改革の意義を波及させることで、さらなる効果拡大を図るとともに、自発的な業務改革が継続的に行われる文化を醸成、仕事のやり方を変えて、仕事の仕組みを作ることで、新しい仕事を創り出し、成長につなげていく考えだ。

 

BPRの取り組みは、業務効率化に加え、働き方改革・意識改革を生み出す

BPRの取り組みは、業務効率化に加え、働き方改革・意識改革を生み出す

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