アビームコンサルティング、リサーチレポート「デジタルとCFO -未来をもたらす Digital Financeに向けた考察」刊行 ~企業はデジタル化に積極的な一方、CFO組織としての付加価値拡大に課題~

アビームコンサルティング株式会社

 アビームコンサルティング株式会社(代表取締役社長:岩澤俊典、東京都千代田区、以下 アビームコンサルティング)は、このほどリサーチレポート「デジタルとCFO -未来をもたらす Digital Financeに向けた考察-」を刊行しました。本レポートは企業の財務・経理部門におけるデジタル化の現状、デジタル時代に求められる業務プロセス、デジタル時代のCFO組織に求められる人材像や組織のあり方を明らかにすることを目的に実施しました。

 近年、顧客接点の多様化や経済のグローバル化を始め、企業を取り巻く経営環境は急速に変化しています。そのような変化に迅速に対応するため、企業においてはデジタル技術を活用した顧客戦略の強化や新規事業の創出だけでなく、企業内オペレーションのデジタル化にも積極的に取り組んでいます。財務・経理部門においても、従来の財務情報とデジタル技術により取得可能となる新たなアプローチのいる経営への支援が求められている一方、デジタル化に対する取り組みは依然として定型業務の自動化に留まっています。

 今回、企業におけるデジタル化への取り組み状況や、デジタル化を阻害する要因、そしてデジタル時代に求められるCFO組織の在り方を明らかにする目的で、東証一部上場企業を中心とした約2,100社(有効回答73社)を対象に調査を実施しました。

 本調査から、依然として多くの企業のCFOが「財務・経理業務の効率化」を最重要課題と認識している一方、約3割程度が「デジタル技術の活用」を選択したことからわかるように、CFO組織におけるデジタルテクノロジーへの関心は増していることが伺えます。しかしながら、現状はRPAやクラウドの導入が大部分を占め、その役割も定型的な業務の自動化・効率化に留まっています。また、デジタル技術に関する知識の不足や法制度への対応、人材育成機会への影響といった要因がデジタル化の推進を進める上での課題になっている実態も浮き彫りになりました。

 そのような結果のもと、アビームコンサルティングは、財務・経理部門のデジタル化の実現に向け乗り越えるべき課題と成功に導くための要因、さらにはCFO組織のあるべき姿について提言しています。

【調査概要】

  • 調査期間:2018年1月12日~2018年2月16日
    調査対象:東証一部上場企業(2017/12月時点)および未上場の有力企業約2,100社
    調査方法:調査票を財務・経理部門宛に郵送
    回答社数:73社(回答率 3.5%)

【調査結果】

1. デジタル化への取り組み状況:既に7割を超えるものの多くは定型業務に留まる
 依然として多くの企業のCFOが認識している経営課題は、「財務・経理部門の効率化」が最も多い結果となる一方、「デジタル技術の活用」と回答した企業が3割近くとなり、財務・経理部門においてもデジタルへの関心が高いことがわかりました。しかしながらその多くは定型業務や業務サポートを目的としており、非定型情報を含む経営情報の可視化やKPIの整備などより付加価値を生むための活用までには至っていません。

 

2. 導入済みのテクノロジー:RPAが首位、次いでクラウド、特化型AIが続く

 既に採用している技術は「RPA」が最も多く、次いで「クラウド」、わずか8%ながら「特化型AI」という回答も見られました。また今後取り入れたい技術の1位は「RPA」、6%ながら「ブロックチェーン」の導入についても前向きな回答が得られました。

 

3. CFOとその組織はより経営の参謀役へ。CFOは会計とデジタルテクノロジー双方の知見が必須に

 現在のCFO組織に求められるのは、「リソースの有効活用、コスト削減」「処理スピードの向上」といった効率化である一方、今後より必要となるのは「経営への情報提供・CEO参謀機能」となりました。これはまず効率化を進めた上で、さらなる付加価値の創出へと変革を求められていることを示唆しています。また、CFOに求められる知識や能力は、従来の会計知識をベースとしたコミュニケーション能力やマネジメントスキルに加え、「IT技術、デジタル技術の知見」が6割を超え、デジタル化を推進する上でリーダーシップを期待されていることが伺えます。

【アビームコンサルティングの考察】

 本調査結果から、財務・経理部門におけるデジタル活用は一定レベルで進んではいるものの、その取り組みの目的や現状は既存業務の効率化に留まっている現状が明らかになりました。アビームコンサルティングは、デジタル化により創出した余力をより付加価値の高い業務に振り分け、CFO組織として本来担うべき経営の参謀機能を果たすための課題と成功要因を以下のとおりまとめました。

~CFO領域のDigitalizationへの5つの壁と3つの成功要因~
 アビームコンサルティングは、企業がデジタル技術を既存業務の効率化によるコスト削減の手段とするのだけでなく、「機械だからできること」に投資し、企業経営や財務・経理にとっての新たな価値創造に寄与することが重要であると考えます。調査の結果から、CFO領域のDigitalizationの実現を阻む要因として、デジタル技術に関する知識不足による「知識の壁」、既存のデジタル技術への信頼性不足による「技術の壁」、法制度・商習慣により規制や懸念による「制度の壁」といった5つの壁があることがわかりました。これらの壁を乗り越え、Digitalizationによる効率化・自動化の促進に留まらない財務・経理業務の変革を実現するには、①今あるものをデジタル化するのではなく今後やるべき業務から考える、②必要となるデータや情報から考える、③デジタル技術にどのような付加価値を求めるか考えるといった3つのアプローチでデジタル化を推進することが重要です。

【結論】

 前述のとおりデジタル時代のCFO組織は従来の経営の管理だけでなく、財務情報やデジタル技術の活用を通じ企業活動の様々なシーンで得られる非財務情報を活用し、事業予測や投資判断といった事業運営の支援を通じ、企業の価値向上を支援する役割を担うべきであると考えます。そのためには、具体的に以下の機能が求められます。

~デジタルKPI経営を支援して真のバリューセンターに~
 今後のCFO組織は、財務情報とデジタル化により取得可能になった非財務情報との組み合わせにより、ファクト(データ)をベースとした未来の予測をし、企業パフォーマンスの最大化に貢献することが求められています。そのためには、デジタル時代に相応しいKPIを「デジタルKPI」として新たに定義・設定する必要があります。

~Digital Financeを実現するDigital Dashboardの活用~
  企業で活用されている現在の経営ダッシュボードは、財務指標をトップダウンでブレークダウンした定量指標であるのに対し、デジタル時代においては財務指標に加え、契約条件や商談数といった様々なデータやその相関関係を示す情報が取得可能となります。CFO組織は、Digital Dashboardとしてその相関関係を可視化し、データ分析に基づいて企業がどうあるべきか未来を導く役割が求められています。

  • ※ アビーム、ABeam及びそのロゴは、アビームコンサルティング株式会社の日本その他の国における登録商標です。

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アビームコンサルティング株式会社について

アビームコンサルティングは、アジアを中心とした海外ネットワークを通じ、それぞれの国や地域に即したグローバル・サービスを提供している総合マネジメントコンサルティングファームです。戦略、 BPR、IT、組織・人事、アウトソーシングなどの専門知識と、豊富な経験を持つ約 5,000 名のプロフェッショナルを有し、金融、製造、流通、エネルギー、情報通信、パブリックなどの分野を担う企業、組織に対し幅広いコンサルティングサービスを提供しています。
ホームページ:https://www.abeam.com/jp/

本件に関するお問い合わせ

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TEL:03-6700-8227、080-2003-1833  FAX: 03-6700-8145
E-mail: wkabasawa@abeam.com
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